賃貸経営メールマガジン

新型コロナ流行による賃貸不動産への影響は?

入居者募集不動産市況
2020/4/15

 

現在、世界中で新型コロナウィルスが混乱を引き起こし、所謂【コロナショック】が各国の経済を圧迫し始めております。

 

我が日本でも特に飲食業界やイベント業界、観光業界が既に多大なダメージを負い逼迫した状況のようですが、遂にはオリンピックの延期にまで影響が出てしまいまいました。

 

1年の延期での経済損失は約6,408億円で、中止になりますと約4兆5,151億円にもなるとの試算のようです。(一部では7.8兆円にもなるという報道もあります)

 

そして、遂に日本政府からの緊急事態宣言を受け各都道府県で対応の違いはあれど、不要不急の外出制限を実施すべく、各種業界へ営業自粛、在宅ワーク要請で事実上大規模な経済活動の停止に近い状況にまで及んでいます。

 

日経平均も今年の1月頃は24,000円台でありましたが、一気に16,000円台へ暴落する等、リーマンショック並みの暴落を見せたり、その後反発し数日間連続で値上がったり、乱高下のような非常に荒い動きをしており、かなり不安定であることがわかります。(もともと割高であったことから、この事態がなくともいつか多少なりとも下落するという考えもありましたが…)

 

2020年2月に大手信用調査会社が2万をこえる企業を対象にした景気動向調査の結果によりますと、やはり『新型コロナウィルスの影響で~』という意見が既に様々な業界・方面から、多く届いていることが分かっているようです。

 

案の定、観光業界では出入国制限・渡航制限がかかっておりますので、宿泊キャンセルが相次いでおり、飲食業界では不要不急な外出の自粛要請もされておりますので、集客に深刻な影響を受けているとのことでした。全くもって予想通りです。

 

さて、様々な業界に影響があると思いますが、その中でも皆様に身近の不動産業界(特に賃貸業界)にはどのような・どれほどの影響が及びそうなのか?
想像は容易ではないですが、現状を踏まえ考察していきたいと思います。

 

賃貸業界ですが、2月頃はこのことによる影響をあまり感じられなかったというのが率直な感想です。弊社では管理物件の空室率で申しますと、比較的低い率を保っておりましたし、新規申込・成約件数も維持しておりました。

 

そして、3月に入りますと多少の余波が出てきました。ただし、空率率や新規申込・成約件数にあまり影響はありませんでした。

 

しかしながら、その中身は様変わりしておりまして、やはり、渡航制限や出入国制限の影響で国内間での外国籍の方のお引越しは多少あったものの、海外からの移住としての外国籍の方の新規申込・成約件数が激減しておりました。

 

つまり、観光業界と同様にインバウンド需要がなくなってしまっているという状況です。インバウンド需要は日本の人口減少が賃貸業界に与える影響を緩和しておりましたので、観光業界のみならず不動産業界にも影響をもたらしております。

 

また弊社で空室率が例年より比較的低い水準を保っている要因として、住居系の賃貸の解約が減少していることにあるかと思います。これは、賃貸経営をされている皆様にとってはプラス要素でありますが、要因としては、様々な法人企業で予定していた異動・転勤を取りやめたり、この時期の社員の引っ越しを自粛させている動きがあったり、その他様々な要因があるようです。

 

ただ一方で問題は対テナント事業の賃貸です。

 

早くも営業自粛等の大きな経済活動の停止で、今までにない営業がままならない状況に陥っていますので、当然ながらテナント賃料が支払えない等の事態が既に起こり始めているのです。
常々、弊社では賃貸経営をするにあたり、住居系とテナント(事業)系のメリット・デメリットとして、経済情勢に左右されやすいかどうかのご説明をさせて頂いておりますが、リーマンショック以来の経済打撃で改めてテナント(事業)系の賃貸は利回りは優秀でも、経済情勢に対しての脆弱さを併せ持っているのだなと体感することになってしまいました。

 

そして、最も大きい影響は現在建築中の賃貸アパート・マンションでありました。現在建築中の物件は多くの現場で軒並み工期が延び、予定の引渡日を大きく遅らせております。要因は建築資材等が中国または諸外国等での製造のため、納入が滞っているといったことが一番大きいようです。

 

ただ、各施工会社もその現状をそのまま放置するわけにはいきませんから、同グレードの代替え品または異なるグレードの代替え品等でなんとか手配するのですが、その代替え品も在庫が少なくなっていますので、価格が多少高くなっており当然建築原価が上がってしまい、建築業界を圧迫してしまっている状況です。

 

また、引渡しが遅れるということは、引越しを予定していた入居者にも影響が及びます。当然予定していたお引越し日が順延されますので、お引越し日をずらせない事情がある方は、他のお部屋を探さなくてはならない等、キャンセルに及んでしまいます。

 

【そして今後賃貸業界はどうなっていくのか?】

この新型コロナウィルスの流行の収束次第であるのは誰でもわかりますが、その収束のスピードにかかっているかと思います。

 

このままズルズルと収束までの時間が延びれば延びるほど経済は疲弊し、所得の下落を招きあるいはその下落幅も大きくなりやすいでしょう。そうなると、テナント(事業)系の賃貸と同様に賃料が支払えなくなってしまう方が増えることは想像に容易です。

 

ただ、一方でお引越しには少なくともそれなりの費用を要しますので、お引越しを控える方も増える可能性も大きく、収束後も解約の減少が続く可能性も充分にあります。

 

あとはどのような経済政策が打ち出されるかにもよるかと思います。不動産市場が悪化しますと、政府も看過できないと思われますので、なにかしらの不動産市場へのテコ入れをする可能性も高いと思われます。

 

早いところこの混乱が収束し、困難を乗り切れる経済政策が打ち出されることに注視していきたいと思います。次回の配信の際にはこの混乱が収束していることを願い、ポジティブな記事を配信できればとも思います。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

神奈川支店 アンサー事業部
夏 啓安

 

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