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借地権とは?

購入・売却
2022/1/27

 

家を購入するために土地を探している方は「借地権」「借地権付き建物」という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
物件探しをしていると、同じような条件にも関わらず「所有権」の土地よりも「借地権」の土地のほうが2~3割安く売られていますがその理由について正しく理解していただくために、借地権の意味や種類、メリット、デメリットなどについて簡単にお伝えしていこうと思います。

 

◇借地権とは
不動産の売買をする場では借地権付き建物は、「借地権」を建物とセットで売却するときに使われる言葉です。借地権とは、文字通り「土地を借りる権利」のことです。

 

◇地上権、土地の貸借権とは
地上権とは、他人の土地を使う権利です。地上権は、民法265条以下で定められており、土地を直接支配できる強力な権利です。
借主が貸主(いわゆる地主)に対して金銭を払うことは義務ではないため、貸主側のメリットがなく、一般住宅で設定されていることはほとんどありません。
土地の賃借権とは、その名の通り土地を借りる権利のことです。こちらは、借主は貸主にお金を払う必要があります。通常、借地権という言葉が出てきた際は、こちらの「建物の所有を目的とした土地の賃借権」のことと捉えて問題ありません。

 

◇借地権は数種類ある
借地権はその性質によって、いくつか種類があります。ここでは、「旧借地権」「普通借地権」「定期借地権」の3つの特徴を紹介します。

 

・借主側に強い権利がある「旧借地権」
借地権が定義されている「借地借家法」が施行される1992年(平成4年)8月よりも前(平成4年7月31日まで)に建物の所有を目的として土地を借りた場合の借地権が「旧借地権」です。
その特徴として、借地契約の更新を続けていけば半永久的に借りることができることがあります。旧借地権の存続期間(契約期間)は、建物の構造(木造や鉄骨造、鉄筋コンクリートなど)によって変わってきます。

 

・更新で期限を延長できる「普通借地権」
普通借地権は旧借地権のような建物の構造と契約期間の関連性はありません。当初の存続期間は構造を問わず、契約で30年以上の期間を定めている場合はその期間、定めていない場合は30年となります。(30年未満の期間設定は無効となります。)
初回の更新では20年の延長が可能です。2回目以降の更新は存続期間が10年となります。
ただし、貸主借主がこれより長い期間を定めた場合にはその期間が更新後の存続期間となります。また、存続期間終了時に建物がある場合は、借地人は地主の合意有無にかかわらず更新を請求することができます。
この場合には地主の承諾は必要ありませんが、地主が遅滞なく正当な意義を述べた時は更新されません。
普通借地権も、契約更新ができれば半永久的に使用できます。

 

・期間満了で土地を返還する「定期借地権」
定期借地権とは借地契約に更新がそもそも無く、契約期間が満了すると土地を地主に返還しなければなりません。契約内容によって存続期間は異なり、一戸建ての場合は50年以上とする「一般定期借地権」の場合が多いでしょう。

 

◇借地権を利用すると良いこととは

借地権を利用することで土地に関する税金がかからなくなります。なぜなら土地は地主のものであり、それに関わる固定資産税や都市計画税などもすべて地主が支払う義務を負うからです。
しかし、税金がかからないのはあくまで「土地」に対してであり「建物」に対しての固定資産税や不動産取得税などはかかるので注意が必要です。

借地権の最大のメリットは、その価格の安さにあります。土地と建物がセットの一戸建ての場合、土地を取得する費用が大きくなりがちです。

特に都心部で取得する場合は坪単価も高く、購入したい地域で家を建てられないということもしばしばあります。
しかし、借地権付き建物であれば土地購入に関わる費用が不要となるため、同じ立地条件でも借地権と所有権で比較すると、価格差が大きくなる場合が多いです。
借地権付きの土地を購入する場合、一般的な土地購入(所有権)代金の6割~8割程度の価格になっていることが多いです。
借地権には期限があるものの、更新することができれば半永久的に使用することも可能です。一般的な場合、最初の継続期間は30年以上となり、この期間を満了するだけでも十分な期間、土地を使用できます。
一方、契約更新に不安を持つ方も多いですが、基本的に正当な理由がなければ更新を拒否することはできません。

 

◇借地権を利用する注意点
借地権を利用する注意点は、地代を地主に支払い続けなければならないことです。借地権を利用することで、住宅購入時の土地にかかる資金が安くなったり、税金が免除されたりなど経済的なメリットが多くありますが、いつまでも地代を払い続けることに抵抗を感じる方がいるのも事実です。
また、借地権を利用すると建物の増改築やリフォームなどを行う際、地主に許可を求めなければなりません。また、売却や譲渡を行う場合も同様です。
借地権付き建物の場合、地主の許可なく建物の増改築はできません。一方、リフォームは地主の許可は不要です。

 

・借地権付き建物は、住宅ローンの審査に通らない可能性がある。
借地権付き建物の借地権が「建物の所有を目的とした土地の賃借権」場合、土地に対して抵当権を設定できないため、所有権と比較して担保価値が低くなります。
借地権が「建物の所有を目的とした地上権」の場合は抵当権が設定できますが、仮に抵当権を設定したとしても、抵当権を行使する前に借地権が解除されてしまうリスクもあるため、金融機関としては住宅ローン審査に厳しくならざるを得なくなり、売却するにあたっても
住宅の増改築や住宅ローン審査において様々な制限があるため難しくなる可能性があります。

 

借地権を利用することで、土地の購入費用が安くなったり税金もかからなかったりなど、良い点ばかりが目に入りますが、逆に注意点が多くあることも事実です。
もし、長期間で借りるという場合は、所有権と実質的な費用にほとんど差がないという考え方があることも知っておきましょう。どちらかというと地方よりも都内などの方が、購入額についてのメリットが多くなるかもしれません。
まずは、自身の生活スタイルに合った借地の存続期間を決めて、借地権を有効活用することを検討していただければと思います。

 

城東支店 アンサー事業部
原田 雅章

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