賃貸経営メールマガジン

住居兼事務所という貸し方について、知るべきこと

消費税
2021/3/25

 

「居住用の賃貸を借りて、住みながら事務所としても使う」というケースはSOHOと呼ばれだんだん増えつつありますが、本来居住用と事業用では用途が違い、税金や法律の扱いも異なります。居住用の投資用不動産に、住居兼事務所として利用したいという入居申し込みがあった際の、実務上の注意点を挙げてみました。

 

■消費税や固定資産税の影響は

事務所使用可の物件を住居として貸す場合は居住用の賃貸借契約書を使用し、家賃に消費税はかかりません。しかし、同じ物件を事務所として貸す場合は事業用の賃貸借契約書を使用し、賃料には消費税がかかります。だとすると、住居兼事務所で貸す場合の消費税はどうなるの?と疑問に思うオーナー様は多かれ少なかれいらっしゃると思います。

 

このことを考える際に比較したいのが、住居部分と事務所部分が区分され、それぞれ独立して利用することができる事務所併用住宅です。「兼用」は一つの区画を住居と事務所という二つの用途に使い、「併用」は住居と事務所が完全に分かれているとイメージすると分かりやすいかと思います。事務所併用住宅の場合、独立した事務所として使用されている部分には賃料に消費税がかかります。

 

しかし、「住居として主に使われ事務所も兼ねているスタイルの住居兼事務所」であれば、そこは基本的に住居扱いとなり家賃に消費税はかかりません。賃借人側も同様に、事務所に使用している割合の家賃を課税仕入れにできないことになります。(消費税基本通達6-13-8)

 

■建築基準法や消防法の規定は盲点になる

建築基準法・都市計画法では、建築物をその用途に応じて適した場所に配置するためのルールがあり、それを用途地域と呼んでいます。第一種・第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域では、事務所は基本的に建築できないルールになっていますし、居住用として建てられた建物を事務所として賃貸することも出来ません。

 

しかし、「住居として主に使用され事務所も兼ねている住居兼事務所」として賃貸することは、面積の要件はあるものの基本的には問題ありません。消防法では、用途により防火対象物を細かく分けており、必要な消防設備も変わってきます。アパート、マンションは新築時に共同住宅等という用途で消防検査を受けており、用途を勝手に変えることは出来ませんが、住居兼事務所という用途はないため、「住居として主に使用しつつ事務所を兼ねているスタイルの住居兼事務所」はその利用実態から考えて住居として扱われることになるでしょう。

 

■賃貸借契約書の注意点は

住居兼事務所として利用したいという入居申し込みがあった場合、賃貸借契約上はどのようなことに注意すれば良いのでしょうか。

 

まず居住用の賃貸借契約書を使用し、「主たる用途を居住用とした住居兼事務所」としての使用を認めるということを示すことが必要です。その上で、居住用の建物としての利用を大きく逸脱するような行為をして他の入居者に迷惑や、不信感を抱かせないための特約を付加しましょう。

 

例えば、不特定多数の来客や業務用の荷物の頻繁な受発送、倉庫利用と見受けられるような量の荷物の保管、家庭ごみに見えないような種類や量のごみ出しなどの禁止が挙げられます。これらの特約を設けることで、自ずと可能な仕事内容も限られてくると思います。

 

また、税金が高くなってしまったり、法律に違反などでオーナー自身が困らないためには、実際の利用方法だけでなく、外の人から見ても住まいとしての体裁を保ち、あらぬ誤解を招かないようにすることが大切です。具体的には、看板の掲示や、ポストや表札に会社名や屋号を単独で表示することを制限すると良いでしょう。

 

仕事用の郵便は郵便局に会社名や屋号を届け出すれば配達されますので、郵便物のためだけであればポストに会社名や屋号を書く必要はありません。まれに賃借人から商業登記をしたいと言われることがありますが、住居としての利用が主であるという実態があるのであれば、登記を許可することでオーナーが困ることはほぼ無いと思われます。賃貸借契約が終了して退去する際には、住民票と同じで登記の住所を移動するよう特約に記載しておきましょう。

 

きちんとした賃貸借契約を締結して、いつのまにか事務所用途が主になっていたり、事務所専用として使用される事態を防がなければなりません。

 

コロナ禍により住まいを事務所にもしたいという入居者ニーズは今後も増えると思われ、上手く取り入れられれば空室対策にもなりますが、安易に行うと知らないうちにルール違反となる可能性があり、オーナー自身が困ることにもなりかねない為、正確な知識を身に着け、利用実態と外からの見られ方に注意し、安全に賃貸経営を行えるようにする事が大切になってきます。

 

城東支店 アンサー事業部 原田 雅章

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