賃貸経営メールマガジン

建物だけではない!地震で気を付けなくてはならないこと

法律・条例・制度災害
2018/7/19

まずは、この度の大阪北部地震より被災にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、亡くなられた方やそのご遺族にお悔やみを申し上げます。また、一日も早い復旧・復興を果たされることをお祈りし、被災された方々の皆様が平穏な日々を取り戻せるようお祈り申し上げます。
 

さて、この記事を作成している6/22現在、いまなお大阪北部を中心とした地域ではいまだ余震が続き予断を許さない状況でありますが、この度の地震被害の中で非常に悔やまれる事故が起きてしまいました。
 

皆様もご存知の通り、今回の地震報道の中でも最も大きく取り上げられている小学校のプールに設置されたブロック塀の倒壊で女児が犠牲となった事故です。
 

ちょうど6月の上旬辺りから、私が携わらせて頂いております賃貸物件の建替え案件において、対象地の隣地境界三方向に設置されている万年塀に土圧などに耐える強度がないのか傾きや隙間が目視で確認されました。そこで、私は『万年塀は撤去し新規で地震の際にも安心できるものにしましょう』とオーナー様へご提案をしておりました矢先の今回の事故でありましたので、なんとも言えない思いであります。
 

今回の事故にもあったようなブロック塀等のいわゆる積み上げるタイプの組積造は建築基準法施工令で高さの制限であったり、控え壁を義務付ける等の安全面の定めがあります。万年塀については傾いているものや隙間が空いてしまっているものをよく見かけますが、関係法令上の条文や定めがない(私が見つけられないだけかもしれませんが)ため、本来は役所からは指導はあっても強制的に撤去や造り直し等は言われないかもしれません。そして、その場合外構費用は当然安く済みます。
 

しかしながら、役所から建築許可が出ればそれは適法かもしれませんが、安全性が担保されるものではありません。通常、弊社の賃貸建築コンサルは如何に安くというテーマがついて回るものですが、弊社が管理会社であるということもあり、前提条件としてより安全でなければならないと考えています。そして、今回の場合は外構費用が高くなってでも塀の倒壊における『所有者責任』のリスク回避を最優先で考え、ご提案しなければと思いました。
 

『所有者責任』ついては民法第717 条1 項にて「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」と記述があります。
 

占有者とは主に建物巡回点検を受託している建物の管理会社等を指したりしますが、『占有者責任』は過失責任であります。例えば、建物の管理会社が所有者に対し『ここが危ないので、直しましょう』と指摘したとします。是正する義務を負う所有者が是正を行わなかった場合、占有者の過失が無くなる可能性があり、『所有者責任』となって所有者へ責任が帰属します。
 

ご自宅は所有者が居住されますので、常日頃建物や付随する土地の工作物を目にし気になるところはすぐに発見に至るかと思いますが、特に賃貸物件は所有者が現地へ赴くことが少ないので注意が必要です。
 

ちなみにメンテナンス契約等で定期的な建物巡回点検の依頼をどこにも出していない場合は、ここでいう占有者の該当者がわかりにくく『所有者責任』となりやすいかと思います。
 

そして、ここが重要です。『所有者責任』は『占有者責任』とは異なり、無過失責任となります。つまり、気を付けていようがいまいが関係なく、結果として損害を他に与えてしまうだけで損害の賠償責任を負わされてしまうのです。例えば、施工業者の施工が突貫で行われた等が要因で手抜き工事同然の場合でもです。あくまでも、損害を被った側と所有者との間で賠償責任が発生し、その先に所有者と施工業者の賠償の問題となりますが、別の問題と取り扱われ『所有者責任』を免れるわけではありません。
 

ですので、施工業者さんの選定やより安全な仕様で施工するということに充分ご配慮頂きたいと思いますが、なかなかどこの施工業者さんが良いかやどういう仕様が安全なのかはインターネットで情報がありふれている現在でもわかりにくいかと思いますので、そういう場合はご遠慮なく弊社へご相談下さい。
 

今回はクローズアップされた報道から、塀のお話をさせて頂きましたが、建物はもとより今回の事故においては、他に損害を与えかねない土地の工作物全般においての安全について非常に考えさせられるものがあったのではないでしょうか?
 

老朽化した建物が非常に多くなってきたかと思います。それと並行して付随する土地の工作物も同じように経年で劣化が進んでいる可能性が高いかと思います。建物の建替えの際は非常に良い機会であります。そうでなくても是非とも付随する土地の工作物までしっかりとお考えいただき、『所有者責任』について充分にご留意いただきたく思います。

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