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ペット可の賃貸は本当に高い家賃が取れるのか?

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2024/9/19

昨今、ペット可の新築物件が非常に多く建築されているように思います。

20年ほど前になりますが、私が賃貸仲介営業に従事していたころ、ペット飼育可物件を探されている方が来店されると、あまりにも物件が少なくお部屋をご紹介するのに非常に苦労をしたものです。

 

ご存じの方も多いかもしれませんが、当時存在していたペット飼育可物件は大きく分けて下記の2通りです。

①常に空室期間が長く、競争力を失っている築古物件をペット可にしただけの物件

②ペットを飼育できることを前提に計画された新築物件

 

上記①のペット可物件は、ペットを室内で飼育されることを前提にされていない仕様となっていますので、

・ペットの鳴き声による騒音

・ペットの発する臭気

・ペットを飼育するにあたり便利なその他設備

などの対策が講じられていない物件ばかりでした。

これらの物件の特徴としては、敷金の積み増しが1~2ヶ月、解約時の償却がありました。

賃料は通常の賃貸と比較し気持ち高い、もしくはほぼ同等程度であったと記憶しております。

それでも、当時はペットを飼育されている方々からすると、ペット可物件としては重宝されていたといいますか、そこに住むしかないといった状況でした。

 

そして、上記②のペット可物件は、ペットを飼育する前提で計画されている『ペット共生』仕様となっており、通常の物件と比較し、当時では目新しいペット用設備が備わっておりました。

・ペットの鳴き声が気にならないほどの遮音性能

・敷地内のドッグラン

・共用部のいたるところへリードフックの設置

・ペットのトイレシートや糞尿専用のゴミ置き場

等々、当時からこれだけしっかりと考えられた豪華なペット可物件も存在しておりましたが、ごくごく稀な事例でした。

但し、このようなペット可物件はとにかく賃料が非常に高額で、ご紹介させていただきましたお客様方は高額すぎる賃料に驚き、憧れを抱きつつ諦めざるを得ないことがほとんどでした。

つまり設備をこれでもかと充実させても賃料を高くしすぎますと、ただただ入居希望者の方々からは手の届かない物件になってしまうだけとも言えます。

 

では、昨今のペット可物件の事情はどのようになっているのでしょうか。

 

不動産ポータルサイトの「SUUMO」を運営するリクルート社によるとペット可物件の掲載件数は2019年1月で10%程度、2024年同月で18%と増加しており、2021年同社が行った調査によると賃貸住宅の居住者のうちペット飼育者は15.6%、賃貸住宅の居住者のうちペットを飼いたいと回答した割合は57%と半数以上だったそうです。

 

昨今のペット可物件は、②の『ペット共生』仕様の新築物件が目に見えて増加しております。

その賃料は前述と同様に、高所得者層でしか借りることができない或いは相場よりもかなり高額な賃料設定で募集されています。

 

実際の物件や立地にもよるでしょうから合っているかわかりませんが、様々なサイトや資料からペット可の相場賃料は通常の相場賃料より1~2割増しとのことです。

あいだをとって1.5割増しとしましょう。

仮に賃料10万円のお部屋があるとしたら、ペット共生仕様にしたら11.5万円です。

20万円のお部屋でしたら、23万円ということになります。

 

しかしながら、様々なポータルサイトを日々閲覧しておりますが、ここのところ少し違和感を感じます。

 

ペット可物件等の高額賃料で募集されている新築物件が、竣工月から3~4か月経ても、物件によっては約半年を経ても空室のままでいることが散見されるのです。

(それ以上の空室期間の物件も見受けられます)

ポータルサイトの調査上、賃貸住宅で半数以上の方がペットを飼いたいという回答をしているのになぜなのでしょうか?

おそらく賃料が高すぎて借りられることのできる方々が少ないのではないのでしょうか。

ただでさえ、ペットを飼う方は飼っていない方と比較して、飼育の費用が掛かります。

更に電気代をはじめ、お米を代表に食料品や生活雑貨等の物価高が続き、生活費も高騰してきております。

生活費のうち家賃に費やす枠が減ってくる可能性も考えられます。

そこで、賃料も驚くほど高いとなるとペットとの楽しい生活を実現するにはとてもハードルが高いと感じて、諦めてしまう方が多いのではないでしょうか。

 

ペット(命)を飼うということはとても重い責任と覚悟が伴います。それなりの所得がない限り責任を持ちきれない場合もありますので、高所得層のみをターゲットに絞ることは、あながち悪いことでもないとも言えるのかもしれませんが…。

 

しかしながら、空室期間が長引きすぎますと、高額賃料で見込んでいた収支はもちろん相場賃料での収支よりも悪化する可能性があるかもしれません。

賃貸経営の側面でお話をさせていただくと、単にペット可(共生)仕様にしたから高額賃料で募集できるわけではなさそうということです。

 

最近、お会いするオーナー様方から「市場の賃料が上がっている」、「この付加価値をつければ、高い賃料が取れますと言われた」など、お話をお伺いします。

 

確かに市場の賃料は若干上がっているとも言えます。付加価値で賃料が上げられる場合ももちろんあります。

但し上限があります。それは借りる方々が支払える上限、近隣競合物件との兼ね合いの上限です。単純にこの上限を超えるから空室期間が出るのだと思います。

 

したがって、皆様には「建築費がこれぐらいかかったからいくらで貸したい」ではなく、ご計画する街区の賃料上限を意識して賃料を設定し、収支見込みをしてくださることをお願いしたいと思います。

 

市場についてまたは新規ご計画については、いつでも弊社へお気軽にお問合せください。

 

営業統括本部 開発営業部

夏啓安

 

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