賃貸経営メールマガジン

不動産経営に適用される(されそうな)コロナ緊急対策

その他税金災害
2020/6/11

 

さて、前回は新型コロナウィルスが不動産にどのような影響を及ぼすかということに触れさせて頂きました。

そして、その記事内ではテナント賃貸事業以外ではまだあまり影響が出ていないとお伝えさせて頂きました。

 

 

しかしながら、前回の記事から間もなく居住用の賃貸不動産にも影響が現れ始めました。

やはり、各業界での雇用の悪化が思ったよりも早く進んでしまい、失業・廃業者の増加が加速し、また、求職もままならない状況に陥りました。

そして、

『全く賃料が支払えない』

または

『何とか頑張って支払いたいが、賃料を減額して欲しい』

という相談が多くなってきました。

 

テナント賃貸にも相当な打撃がありましたが、ついに居住用賃貸も同じような状況に…。

予想はしておりましたが、直面しますと相当の影響の現れかたでした。

 

 

しかしながら、居住用の賃貸については離職・廃業に伴った世帯が対象の住宅確保給付金という原則3カ月(最長9カ月)給付される制度があります。さらに減収世帯にも対象が拡充されるようです。(各自治体により給付額は異なる)

この制度のおかげで賃料の支払い猶予や減免措置を講じることを回避できたオーナー様もいらっしゃることと思います。

 

 

ただ、大打撃を受けているテナント賃貸オーナー様への対策は一部の制度を除き即効性が低いものばかりで、極めて不十分かもしれません。不安を抱えたまま、なかなか賃料の支払い猶予や減額・免除に応じることに二の足を踏んでいらっしゃるオーナー様も多く存在しています。

 

 

そこで、テナント賃貸事業に適用される又は適用されそうな関係各省庁からの対策を以下にご紹介させて頂きます。

(期待や希望も含め、現状対象外の制度も含まれております)

 

■国税や地方税、社会保険料の1年間の猶予措置

■減免したテナント賃料の損金算入

■2021年度の固定資産・都市計画税の減額または免除

■家賃支援給付金

■持続化給付金

※関連法案の成立またその後も内容詳細・対象要件等が随時変更されておりますので、詳しくは関係各省庁HPを必ずご確認ください。

 

 

【国税や地方税、社会保険料の1年間の猶予措置】

飲食等の営業自粛要請の対象となるテナント事業等のビルや店舗オーナーの方で、賃料の減免で所得税や固定資産税が支払えなくなってしまう方が出てくると推測されます。

対策として、2020年2月以降の一定の期間(1か月以上)収入が前年同期比で概ね20%以上の減少がある場合、税務署等へ申請することにより1年間の支払い猶予が受けられる。

猶予であり、免除されるわけではないようですので、その場をなんとか凌いでくれという意味合いが強い措置かと思います。

 

 

【減免したテナント賃料の損金算入】

通常、減免した賃料は寄付金扱いとなり、損金算入するには限度があります。しかしながら、今回のこのコロナの影響を受けた期間の賃料減免は災害時と同様の扱い、すなわち寄付金とはせず、限度額に制限なく全額損金算入が可能になり、所得税の軽減につながります。

 

 

【2021年度の固定資産・都市計画税の減額または免除】

2020年2月~10月までの任意の3カ月間の収入の対前年同期比減少率が30~50%未満であれば、2021年度の固定資産税及び都市計画税が2分の1に、そして、50%以上減少すると全額が免除される見込みです。

しかしながら、20201年という次年度の税金での対策となりますので、即効性はやや弱く思いますが、ないよりもあった方が良いかと思います。

 

 

【家賃支援給付金】

2020年5月27日の第2次補正予算で決定されたばかりの制度事業のため、今後、制度事業内容が変更される可能性があります。

内容としては、中堅企業、中小企業、小規模事業者、個人事業者等に対して、5~12月(※)において以下のいずれかに該当する事業者に、家賃の一部を給付金として支給するというものです。

・いずれか1カ月の売上高が前年同月比で50%以上減少

・連続する3ヶ月の売上高が前年同期比で30%以上減少

 

1カ月の最大給付額は法人事業者が100万円、個人事業主については50万円が6カ月間支給されます。(計算方法は少し独特ですので、詳しくは経済産業省HPをご参照ください)

こちらの支援策はテナント賃貸オーナー様に非常に効果が大きく見えますが、今のところ支給方法等がまだ見えず、そして、オーナー様に直接支給でないことと賃料に使われなかった場合等の使用用途制限やペナルティがよくわからない状態ですので、詳細が決まるまでオーナー様にどう行き渡るかが心配なところです。

そして、なにより売上高の減少比較月を5~12月として、一番影響がありそうな3・4月が入っていないところが、どうも引っかかります。

 

 

【持続化給付金】

経済産業省による中小企業や個人事業主等の事業者に対する給付金制度であるこちらの支援策は中小企業には最大200万円、個人事業主には最大100万円の給付となり、給付の最大限度があるものの、場合によっては給付額の算定方法が比較的やさしく最大額を給付してもらうのにそれほどハードルが高くありません。

次に該当しているかが主な対象要件です。

・新型コロナウィルスの影響でひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している

2019年度以前から事業収入を得ており、今後の事業継続の意思がある事業者

※上記に該当しない場合でも他に特例あり

 

この持続化給付金は上記3つの対策よりも不動産賃貸業が対象とされれば、即効性があり非常に効果が大きく思われましたので、深堀していきます。

 

残念なことに確定申告上の不動産収入である個人事業主は対象とされませんでした。一方、法人は収入の内訳が不動産収入であろうが、売上金額で判断されるため対象となります。

現状、極めて不公平感が残る制度となってしまっておりますが、速やかに個人事業主の不動産収入も対象とするよう非常に多くの声が多方面より経済産業省に届いているようです。

更に対象外であった雑所得や給与所得のフリーランスの方が新たに対象となったこともあり、不動産賃貸業が置き去りにされている感が出てしまい、批判に拍車がさらにかかった面もありますが、捉え方によってはこれから不動産収入も対象になる可能性がまだあるともいえるかもしれませんので、期待したいところです。

 

 

まだ不動産賃貸業のオーナー様に直接給付される制度はほぼない(法人の持続化給付金や各自治体独自の制度を除き)という状況に近いのが現状です。即効性が非常に高い制度・対策が、講じられれば賃料の減額・免除の交渉がテナントより入った場合、応じられるオーナー様ももっと増えることと思いますし、既に応じたオーナー様で制度の救済から漏れ、負担をオーナー様が全てかぶってしまっている状態の方々も多くいらっしゃるかと思います。

 

まだまだこれらの対策や制度については、内容の変更や新設を検討されているものが多くありますので、どうか今後これらの対策を見逃すことなく、上手に使い窮地に追いやられている事業者や入居者の方々を救済しつつ、皆様のご負担が可能な限り少ない状態でこの困難を乗り越えられることを切に願います。

 

また、弊社では引き続きアパートやマンション等の居住用不動産、テナント等の事業用不動産等についてのお困りごと全般に対してのご相談を承らせて頂いておりますので、なんでも結構ですので、いつでもお問合せ下さい。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

神奈川支店 アンサー事業部

夏 啓安

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