賃貸経営メールマガジン

『非弁行為とは?』

法律・条例・制度
2023/3/30

 

私達の日常生活において弁護士に何かを依頼する、という場面はごく稀な事で、ほとんどが関わりなく生活を送るというのが一般的な状況であると思います。

 

賃貸管理会社として業務を行う上では、弁護士とやり取りをしたり、直接会ったりというケースは年に数回程度の頻度ではあるものの、主に相続や賃貸管理契約の解約といった事案において弁護士と接する場面が見られます。

 

日本の弁護士制度を定めた「弁護士法」という法律に、以下のような規定があります。

「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。」(弁護士法第72条)

 

弁護士でない個人・法人が、弁護士法第72条に記された行為を行うことを非弁行為と言い、弁護士以外の者が行うことは禁止されています。

(罰則も規定されており、2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されます。)

 

賃貸管理会社の業務の中で、非弁行為に抵触する恐れがあるケースとして、建物所有者からの依頼で、賃貸管理会社が賃貸借契約を解除して、借主に対して立ち退き・明け渡しを求めようとする場合が挙げられます。

 

借主に対して賃貸借契約の解除を通知し、最終的に明け渡してもらうまでの過程で、立ち退き料などの金銭的な補償をはじめ、借主と様々な交渉を行う必要があることは容易に想像が出来ます。こうした交渉を行う事を、建物所有者が賃貸管理会社へ依頼し、賃貸管理会社が行うことは、上記の非弁行為に該当する可能性が高く、実際に弁護士法第72条に違反するという判例が存在します。

 

●最高裁 平成22年7月20日 判決
弁護士資格等がない者らが,ビルの所有者から,そのビルの借主らと交渉して賃貸借契約を合意解除した上で各室を明け渡させるなどの業務を行うことを受任し,報酬を得る目的でその業務を行った場合について,弁護士法72条違反の罪が成立するとされた事例。
(今回は詳細には触れませんが、そもそも借地借家法において、明け渡しを求める場合、正当事由がなければなりません。)

 

建物所有者が賃貸管理会社に賃貸管理業務を依頼する際、管理料・管理手数料などの名目で建物所有者は賃貸管理会社に対して支払うのが一般的です。

 

通常の賃貸管理業務を行う上で管理会社がこの管理料や管理手数料といったものを受け取り、立ち退き・明け渡し業務に対する報酬を別途受け取らずに立ち退き交渉などを行ったとしても、この通常の管理料・管理手数料が弁護士法第72条に規定する「報酬」に該当する恐れがある、という指摘もあります。

 

この弁護士法第72条の規定に違反しないようにする対応としては、

1.建物所有者が、弁護士に立ち退き・明け渡しの交渉を依頼する。
または、
2.建物所有者が、賃貸借契約の貸主の地位に就き、賃貸借契約の当事者として自ら借主と交渉する。

という方法を採るということになります。

 

賃貸管理会社も宅建業法や賃貸住宅管理業法をはじめとする、様々な法令の規定に即して業務を遂行しなければなりません。
これらの法令の規定に反することのないよう、法令遵守の姿勢は特に重要です。

皆様にもこうした点についてのご理解を頂ければと思います。

 

本店 運営推進事業部
岡野 明憲

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