賃貸経営メールマガジン

2022年問題と生産緑地の賃貸

法律・条例・制度不動産市況
2018/10/11

「都市農地の賃借の円滑化に関する法律」が9月1日に施行されました。

これにより、生産緑地の土地所有者から他の農業従事者への賃貸が可能になり、農地として賃貸した場合に引き続き課税の優遇措置が受けられるようになります。都市部の生産緑地を賃借する農家の方がどれだけいるのか、最初は疑問に思っていましたが、農地を細かく区割りして月額数千円程度で市民農園として貸し出すなどの案があり、この市民農園は、かなり需要が見込めるようです。

 

2022年以降、指定を受けてから30年の期限を向かえた生産緑地が一斉に解除され、宅地に転用されることで供給過剰による地価の暴落が危惧されているのが所謂「2022年問題」ですが、一気に宅地化されることを抑制し、生産緑地を維持することで「2022年問題」を回避するべく政府も動いているようです。生産緑地の一斉解除は他にも、都市部の緑地の減少による環境の悪化、ヒートアイランド現象の加速、災害時の避難場所の減少などが懸念されています。

 

緑地保全の目的から「都市農地の賃借の円滑化に関する法律」が施行される前に、生産緑地法が改正されています。主な改正点は、①生産緑地の面積要件が500㎡以上から300㎡以上への引き下げ、②生産緑地内で生産された農作物の加工場、直売所、レストランの施設設置が可能に、③特定生産緑地の指定を受けることで10年延長が可能になり、10年経過後は繰り返し10年延長が可能になるなどです。

 

都市部の農地が一斉に宅地化され、大きな混乱が起こると思われていた「2022年問題」ですが、色々と対策が講じられてきているため、そこまでの問題にはならないように思います。ですが、農業従事者の高齢化や後継者不足の問題は以前として残っており、市民農園としての需要も限りがありますので、やはり一部の生産緑地は宅地化されて、そこに賃貸物件が建築されるケースは多いでしょう。その影響が不動産価格や賃貸市場にどこまで出てくるのか、引き続き注目していきたいと思います。

 

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

アンサー事業部 和田 康幸

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