賃貸経営メールマガジン

退去を発生させないという空室対策

入居者募集不動産市況
2023/10/5

賃貸経営を続けていくと、1つの物件の中で、何度も入居者が入れ替わる貸室がある一方、退去が生じず、長期で入居が継続となるケースもあります。

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が昨年発表した「2022年日管協短観」によると、首都圏での賃貸物件の平均居住年数が、単身向け物件で3年6カ月、ファミリー向け物件で5年6カ月、というデータが公表されました。こうしたデータがある一方で、実際に弊社の管理物件においてもこのデータに示された期間を大きく超えて入居が継続しているケースも一部に見られます。

 

かつては賃貸需要が供給を上回っていた時代もあり、敷金・礼金2ヶ月といった募集条件でも比較的早期に成約すること出来ていました。また、退去後の原状回復についての明確なルールが定められていない時代には、原状回復の費用を入居者へ負担してもらえました。結果として、頻繁に入居者の入れ替わりが生じたとしても、オーナーにとって大きなマイナスにはならずに済んだ時代もありました。

 

しかし、今では賃貸物件が増え続けている中で需給関係が逆転し、以前とは事情が大きく変わってしまいました。敷金・礼金ゼロでの募集が当たり前のようになり、仲介業者へ支払う広告料(AD)の設定も常態化しています。場合によっては一定期間家賃の発生をゼロにするフリーレントを条件として設定しておかないと、成約が見込めないということもあります。また、原状回復のルール(いわゆるガイドライン)の設定によって、自然損耗・経年劣化に相当する原状回復の費用は、貸主側が負担するという明確なルールが適用されるようになりました。

 

つまり、入居者入れ替わりが頻繁に起こると、その都度オーナーの立場から見ると収入減・支出増になるということです。こうした状況から、一般的な空室対策は、解約・退去から次の成約・入居までの期間を短期化させて、空室によって家賃収入がなくなる期間をいかに短期化させて。退去~募集~成約の期間に発生した支出をいかに早く回収するか、という視点に重きが置かれることになります。

 

しかし現実は、賃貸物件の供給増や人口減少傾向などの現状から、空室リスクがより一層高まる状況が不可避となっています。こうした状況を踏まえると、これまでの一般的な空室対策ではなかなか通用しなくなることが予測されます。そこでこれまでとは視点を変えた空室対策が求められるのではないかと思います。それが、物件において空室を発生させない状況をつくる、という空室対策です。入居者募集をするたびにコストが掛かるのであれば、空室を作らない、解約を発生させない

という、視点を変えた空室対策です。

 

長期間の入居となれば、原状回復費用・募集コストを抑えられ、なによりも家賃収入が途切れない

ことになります。こうした状況を作り出すには、入居者が退去を考えず長く住みたいと思う状態づくりが不可欠です。

 

では具体的にどのような方法が考えられるでしょうか。

・入居者からのリクエストに可能な限り速やかに応える

・入居者に物件に対する要望や設備ニーズを聞き取って、吸い上げる

・物件を常に綺麗な状態に保つ

・入居者からの賃料値下げ要望にある程度応じる、また、契約更新時にオーナーから賃料値下げを申し出でる(1~数千円のレベルでも良いので、申し出てみる)

・エアコンなどの洗浄サービスを提供する

など。

 

入居者にとって、物件に対するメンテナンスが行き届いている点や、オーナーが入居者に対して関心を持ち、オーナーが要望を受け止めてくれる状況は、物件に対する入居者心理はプラスに働き、良い印象を持たれることが容易に想像できます。市場全体でも空室リスクが高まっている状況です。目の前の空室を早期に成約させて入居してもらうことも確かに重要ですが、既存の入居者を大切にすることで長く住み続けてもらうことが、もう1つの空室対策として検討できるのではないでしょうか。

 

本店 運営推進事業部
岡野明徳

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