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建築物が密集している地域で定めている防火地域とは?

建築計画
2022/6/30

自分の土地で思わぬ規制を受けるのが防火地域や準防火地域の規制です。 防火地域や準防火地域では、建物に防火設備と呼ばれる特殊な仕様を組み込む必要があり、建築費が想定より高くなってしまうこともあります。

では、防火地域や準防火地にとは、それぞれどのような規制があるのでしょうか。

今回は「防火地域と準防火地域」についてお話していきます。

 

◆防火地域とは

防火地域とは、市街地の防火対策のため、都市計画で指定される地域のことで、主にターミナル駅周辺の中心市街地や主要幹線道路に指定されています。防火地域は鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物が多く、木造の建物は少ないのが特徴です。

防火地域では、以下のいずれかに該当する建物は耐火建築物にする義務があります。耐火建築物とは、火災が自然鎮火するまでの間、放置されても倒壊するほどの変形や損傷がなく、延焼もしないで耐えることができる建築物のことです。

 

【耐火建築物にしなければいけない建物】

・地階を含む3階以上の建物
・延べ面積100平米超の建物

 

また、防火地域では上記以外の建物は準耐火建築物にする義務があります。(ただし、延床面積が50平米以下の附属建築物で、外壁および軒裏が防火構造のもの等は除きます。)

準耐火建築物とは、耐火建築物ほどの耐火性能はありませんが、火災時に一定時間は倒壊や延焼を防ぐ耐火性能をもつ建築物のことです。その他、防火地域では看板や広告塔において、屋上に設けるものや高さが3m超のものは不燃材料でつくる(または覆う)という規制があります。

 

◆準防火地域とは

準防火地域とは、市街地の防火対策のため、都市計画で指定される地域のことで、延焼速度を遅くし、市街地の防火に役立てる目的で指定されています。主に防火地域の周辺に、広範囲で指定されることが一般的です。準防火地域の規制は防火地域よりも緩いことが特徴となっています。準防火地域では、以下のいずれかに該当する建物は耐火建築物にする義務があります。

 

【耐火建築物にしなければいけない建物】

・地階を除く4階以上の建物
・延べ面積1,500平米超の建物

 

また、準防火地域では以下のいずれかの建物は準耐火建築物にする義務があります。

【準耐火建築物にしなければいけない建物】

・地階を除く3階以下の建物で、延床面積が500平米超、かつ、1,500平米以下のもの

2階以下で、延床面積が500平米以下であれば、耐火建築物または準耐火建築物にする義務はないため、木造でも建築可能です。ただし、木造にする場合は、外壁および軒裏の延焼の恐れのある部分は防火構造とする必要があります。

 

防火地域と準防火地域の違いをまとめると下表の通りです。

 

 

 

 

◆「法22条区域」および「指定なし」について

防火地域または準防火地域以外では、「法22条区域」および「指定なし」があります。

法22条区域とは、防火・準防火地域以外の地域について、特定行政庁が指定する区域で、火災の延焼防止を目的に、全ての建築物の屋根の不燃化を義務付けた地域のことです。法22条区域では、屋根だけでなく、延焼のおそれのある部分の外壁も構造規制を受けます。

特定行政庁とは、建築主事(建築専門の役人のこと)が置かれた自治体のことです。自治体によっては、防火・準防火地域以外の地域を全て法22条区域に指定している街もあります。

一方で、指定なしとは、防火地域や準防火地域、法22条区域のいずれにも該当しないということです。 中心市街地から離れた住宅街では、「指定なし」となっていることもよくあります。

 

防火地域や準防火地域は、大きな自治体であればインターネットで調べることが可能。

小さな市町村で都市計画情報がネットに公開されていない場合には、役場に行くと確認することができます。市町村役場は、「都市計画課」や「街づくり課」といった課が窓口となっていることが多いです。

 

防火地域も準防火地域も、市街地の防火対策のために指定された地域のことです。規制は準防火地域よりも防火地域の方が厳しくなります。防火地域や準防火地域では、屋根や延焼ラインの外壁の窓等に共通の規制もあります。建物が防火地域と準防火地域にまたがる場合は、基本的に厳しい方の地域の規制に従うのが原則です。 防火地域内で耐火建築物を建てた場合や準防火地域で耐火建築物や準耐火建築物を建てた場合は建ぺい率が10%緩和される制限もあります。

 

土地の購入や建物を建築する際のご参考にして頂けると幸いです。

城東支店アンサー事業部 原田 雅章

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