賃貸経営メールマガジン

今年の賃貸計画を目的とした土地購入時の注意点〜建築基準法一部改正〜

法律・条例・制度建築計画
2019/3/28

皆様こんにちは。
本日は夏がお伝えします。

今回は昨年6月27日に公布され2019年に施行される予定の建築基準法の一部改正のうち、特に賃貸計画に影響しそうな【準防火地域内の建ぺい率10%緩和】と【接道規制の強化】の2つに着目し、今後の土地購入について考えていきたいと思います。

 

【準防火地域内の建ぺい率10%緩和】
今までも『防火地域内』での『耐火建築物』については、既に建ぺい率の10%の緩和措置が適用されていましたが、ついに『準防火地域内』にも建ぺい率10%緩和の措置がとられます。さらに注目したい点は『防火地域内』では『耐火建築物』のみの適用のままでありますが、『準防火地域内』では『耐火建築物』に加え『準耐火建築物』でも適用されるということです。

 

また、『防火・準防火地域内』において延焼防止性能の高い建築物の基準が新整備されます。現行法では全ての壁や柱等に対し耐火性能を要求されていましたが、改正後は外壁や窓の防火性能を高め安全性を確保できれば、内部の柱や梁等に『耐火被覆を施さず木材の使用』ができるようになります。

 

これらは、賃貸建築にあたり非常に有利に働く改正と言えます。例えば、現在ご所有の土地や購入検討予定の土地が『準防火地域内』であれば、『耐火建築物』よりも比較的コストが安い『準耐火建築物』でも建ぺい率10%緩和が受けられ、今までは実現できなかった間取り計画が実現しやすく、収益率の増加が見込みやすくなる可能性を大いに秘めます。
そして、室内のお話になりますが、木材等の柱や梁に『耐火被覆』が必須でなくなることにより、木材の暖かみ等の素材感を生かした入居者に好まれるデザイン設計が可能になります。

 

【接道規制の強化】
こちらの改正は賃貸建築にとって、厳しいものになる可能性があります。今までは接道状況があまり良くない『袋地・路地状敷地』等の『旗竿地』において、賃貸を建築する場合は共用部(玄関、ホール、廊下、階段等)がある共同住宅(特殊建築物)ではなく、接道や避難経路等の規制が緩い『長屋形式』で建築がされていました。今回の接道規制が強化される改正では、比較的大きな規模の『重層長屋』が思うように建築できなくなる可能性(地方公共団体の条例次第のため)があります。

 

これまでは、下記の図のとおり『旗竿地』の中でも『路地状敷地』の『路地状部分』についてのみ条例で接道規制強化ができる対象でしたが、今回の改正では建築物の延床150㎡超の『袋地状敷地』及び『路地状かつ袋地状敷地』の『接する道路』にまで条例にて接道規制強化ができるようになります。(一戸建ての住宅は除く)
したがって、戸数の多い重層長屋が建てづらくなってしまうかもしれません。

 

【準防火地域内の建ぺい率10%緩和】については、『準防火地域内』で延焼しやすく早く建て替わって欲しい建築物の建て替えが思うように進んでいないので、建ぺい率の緩和で建替えるメリットを出るようにして、少しでも耐火性能の良い建築物になるよう促進していく。

【接道規制の強化】については、奥まった土地に一棟10戸以上規模の重層長屋が増加したことにより、幅が狭い接道を避難経路として、大人数が避難しなければならない建築物が増えた。
今回、着目しました2つの改正点の共通の背景は、過去の大規模火災が残した問題点を解消するためでもあるようです。

【準防火地域内の建ぺい率10%緩和】は今年の6月末日に施行見込みの予定、【接道規制の強化】は今年の3月に施行となっています。

 

実際に既に【準防火地域内の建ぺい率10%緩和】のため、あえて今年7月以降に着工を延期し、より大きいプランに変更なさったオーナー様もいらっしゃいます。
今まで比較的割安感のある接道条件の良くない『旗竿地』をあえて購入し、重層長屋で上手に賃貸計画をたて経営をなさっている方もいらっしゃいますが、今後の賃貸計画を目的とした土地のご購入の際は、今回改正されたこの2点についてよくご確認頂き、メリットは大いに生かして下さい。そして、デメリットやリスクは上手く回避して頂きたく思います。

 

ご不明な点がありましたら、いつでも弊社へご相談ください。

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