賃貸経営メールマガジン

法42条2項道路とセットバック

建築計画
2022/8/4

賃貸アパートの建築を目的に土地を探しているときや中古物件の購入を検討しているときに、気を付けなければならないことの1つに、法42条2項道路に接地している土地であるかどうかということがあります。

もし、法42条2項道路に接地している土地であった場合は、賃貸アパートを建築するとき、もしくは中古住宅の購入後に建て替えをするとき、セットバックという行為が必要となります。

今回は、この法42条2項道路セットバックについて話していこうと思います。

 

◇建築基準法と道路

昭和25年に、建築物の敷地や構造、設備、用途などの基準を定めた「建築基準法」が制定されました。建築基準法の第42条1項において、建築基準法における道路の要件について細かく規定されており、原則として幅員が4メートル以上ある道を建築基準法上の道路として認めています。

そして、建築基準法第43条では、都市計画区域・準都市計画区域内にある建築物の敷地は、幅員4メートル以上の道路と2メートル以上接しなければならないという規定が示されています。これは、接道義務と呼ばれるものです。

 

法42条2項道路とは、建築基準法第42条2項において定められている道路のことで、「2項道路」や「みなし道路」とも呼ばれます。

建築基準法が施行される昭和25年より前に建てられた住宅などでは、接地している道路の幅員が4メートル未満の場合もありますがその場合、これらの住宅は建築基準法に違反した建築物となってしまいます。そのため、幅員が4メートル未満の道路であっても法施行前から使用されていた道路であり、知事や市長などの特定行政庁が道路として指定したものに関しては、建築基準法上の道路とみなすこととなりました。

このことが建築基準法第42条2項に定められており、この42条2項道路に該当する道路が法42条2項道路や2項道路なのです。

 

セットバックについて

セットバックとは、英語で後退や後ろに下げることを意味する単語のことです。

セットバックには2つの意味があり、1つは法42条2項道路における敷地のセットバックを示し、もう1つは、段形後退とも言い、道路などへの日照を妨げないためや風通しなどを考えて、建物を下の階から上の階に向かうにしたがって順次後退させ、階段状の外観になった建物のことや建築物の上層を引っ込ませることを指します。

 

法42条2項道路における敷地のセットバック

建築基準法第42条2項では、幅員4メートル未満の道路では、「その中心線からの水平距離2メートルの線をその道路の境界線とみなす」と規定されています。

これは、道路の中心線から2メートルの範囲は、道路の境界線とみなすため、その部分に関しては建築物を建築することができないということを示しています。

したがって、法42条2項道路に接地する住宅が建て替えなどを行う際には、法42条2項道路の中心線から2メートルの範囲までセットバックをすること、つまり法42条2項道路に接地する敷地を後退させることが求められています。

そのため、法42条2項道路に接地する土地では、自分の敷地でありながら建物や塀などを建築することができない部分が発生するということになります。

 

 

法42条2項道路に接地する土地や中古アパート・マンションを購入するときの注意点

土地や中古アパート・マンションを購入する際に、法42条2項道路に接地する土地や住宅であった場合には、「2項道路に接する」などといった注意書きが書かれています。

このような土地を購入し、住宅を建てようとする場合には、建築時に法42条2項道路の中心線から2メートルの範囲をセットバックする必要があります。

セットバックをした範囲には建物はもちろん、塀や門なども建築することはできません。

また、法42条2項道路に接地する中古アパート・マンションを購入する場合も、建て替えを行う際には、セットバックが必要となることを認識しておかなければなりません。

この場合、建て替え時には、以前よりも敷地面積が狭くなり、建物面積も狭くならざるを得ないケースもあるため注意が必要です。

 

セットバック後の土地はどうすればいいのか

幅員4m(指定区域では6m)未満の道路に接する敷地のセットバックについては建築基準法で決められているのですが、セットバックをした後の土地(後退用地、後退道路用地)をどうするのかについては、法に明確な規定がありません。

道路状に整備をすることが原則でありながら、過去にセットバックをした土地では未舗装のまま放置されていたり、個人の敷地として自転車やバイク置き場として使用されていたり、あるいは花壇などに転用されている例も見受けられます。

しかし、近年は自治体による指導要綱などの整備が進んだほか「狭あい道路整備事業」としての位置付けもされるようになり、建築工事前の事前協議を要請するところもあります。
このようにセットバックを要する敷地で建築計画を立てるときには早めにしっかりとしたご確認と準備が欠かせません。

 

城東支店 アンサー事業部

原田雅章

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