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リフォーム前に要注意!アスベスト調査の義務化とその影響

リフォーム・リノベーション
2025/9/18

2021年4月から解体・改修・リフォームなどの工事に使うすべての材料についてアスベストの『事前調査』が義務付けられ、2022年4月からは一定規模以上の建築物のリフォームや解体を行う場合、アスベストの事前報告に加えて『自治体への報告』も義務付けられています。この制度は、健康被害の恐れがあるアスベストの飛散を未然に防ぐためのもので、賃貸物件を所有するオーナー様にとっても避けて通れない問題です。

 

そもそもアスベストは、かつて「奇跡の鉱物」とも呼ばれ、断熱性・耐火性に優れた素材として建材に多く使われてきました。しかしその微細な繊維を吸い込むことで、中皮腫や肺がんといった深刻な健康被害を引き起こすことが判明し、2006年には原則使用が全面禁止になりました。その影響で昭和30年代〜平成初期の建物にはアスベストを含む建材が使われている可能性が非常に高いと言われています。

 

調査義務となる対象として、2022年の改正建築物石綿含有建材調査制度により、以下の場合には事前調査と報告義務が課されています。

  • 解体工事(延床面積80㎡以上)
  • 改修・補修工事(請負金額100万円以上)

 

この改正により、アスベストの含有の恐れがない2006年9月1日以降に着工された建物についても調査結果の報告をしなければならない可能性が出てきます。

この場合、確認済証などで9月1日以降に着工されたことが分かれば問題ありませんのでそこまで労力は要しませんが、それ以前の建物になると工事対象建材を設計図書や目視での確認が必要になり、大きな手間になってしまいます。

 

 

度重なる法改正から例えば25㎡の単身間取りの原状回復であってもアスベストの調査~報告が必要になる可能性がありますので、オーナー様だけではなく賃貸管理会社にとっても注意が必要な問題となっています。

 

また、リフォームの前にアスベスト調査が必要になることで

  • 工期が延びる可能性
    調査→報告→除去の工程を挟むため、従来よりもリフォームの着工までに時間を要するケースがある
  • コストの増加
    調査費用に加え、アスベストが含まれていた場合には特別な処理費用が発生するので、小規模工事でも追加費用が発生する可能性がある
  • 施工業者の選定が重要に
    資格を持った調査者が必要で、かつ安全に処理できる業者を選ばないと法令違反や近隣からのクレームに繋がる恐れがある

といったリスクもあります。

 

上述のようなリスクがあり、アスベスト調査は「面倒でコストがかかる」と思われがちですが、建物の資産価値を守る、入居者やリフォーム業者スタッフの命を守る意味でもとても重要です。

間取りを変更するようなリノベーション工事の際には、アスベスト調査~報告までもが必要となることがあるかと思いますので、リノベーションのご提案も含めお気軽にご相談ください。

 

 

神奈川支店 開発営業部

土屋 一夢

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