賃貸経営における定期借家契約について

お部屋探しをしたことがある方は『定期借家契約』という言葉を見たことあるのではないでしょうか?
定期借家契約とは、普通借家契約とは違い期間の定めがある建物の賃貸借契約でかつ更新がない賃貸借契約を意味します。
基本的には普通借家契約でお部屋を借りたり、貸したりすることが多く、お部屋探しをする方も普通借家契約のお部屋を好む傾向にあります。
定期借家契約はお客様付けをする際には少し不利になる可能性がありますが、賃貸経営を行っていく上で場合によっては、定期借家契約で貸し出した方が良いこともあります。
今回はどのような場合に定期借家契約で貸し出した方が良いのかご紹介します。
・急な転勤で一定期間自宅を空ける場合
海外転勤や地方への転勤で家族全員での引っ越しを余儀なくされた場合、転勤の期間が決まっていればその期間に合わせて自宅を賃貸に貸し出すことが出来ます。
期間が決まっていない場合でも、4年・3年・2年など状況によって契約期間を変えながら貸し出すことも出来ます。
自宅を普通借家契約で貸し出しする場合、賃貸人は正当事由がなければ、賃借人からの更新を拒絶したり、賃借人を追い出すのが難しい立場になる為、転勤を終え戻ってきたタイミングで住むことが出来ない可能性があります。
この正当事由とは、賃貸人が建物の使用を必要とする事情や、賃借人の家賃滞納等の従前の経過、建物の利用状況、立退料の申出等々が総合的に組み合わさったうえで認められる事由になります。
実際に借地借家法第28条に、
『第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。』
と明記されております。
財産上の給付とは立ち退き料が該当し、数十万や数百万になることもあります。
定期借家契約は期間の定めがあり、更新がない契約になりますので、転勤の期間に合わせた契約年数にすれば立ち退き料など支払うことなく、入居者を退去させることが出来ます。
・建替えの目安時期が決まっている場合
建物の老朽化や税金対策などで既存の建物を建替える場合、入居者がいる場合は立ち退きが必要になります。
通常立ち退きをする場合は、最低でも6か月前までには賃借人に対して通知をする必要があります。普通借家契約で契約している場合は、先程もお伝えした通り退去させるには正当事由が必要になってきますので、弁護士など法律に強い専門家に依頼し、根気強く立ち退きの交渉をしていかなければなりません。
更に立ち退き交渉が難航し、建て替えの時期が延びてしまうと建築費が高騰してしまい、予算を超えてしまう可能性もあります。
建替えを行う時期の目途が立っている場合は、退去が出た部屋から順に定期借家契約に切り替えていくことをお勧めします。
定期借家契約であれば契約期間終了に伴い退去していきますので、立ち退き交渉をしたり、立ち退き費用を支払う必要性もありません。
ですので、建替えの時期が決まっている場合で、新たに入居者募集をする際は退去が出たタイミングで、建替えの時期に合わせた契約年数の定期借家契約で入居者募集をするのをお勧めします。
今回は簡単ではありますが、定期借家契約でご自身の不動産を貸し出す場合のメリットについてご紹介させていただきました。
建替えをしたいけど立ち退きで悩んでいる方や、どのような契約形態でご自身の不動産を貸し出したら良いか迷われている方はお気軽にご連絡下さい。
最後までお読みいただきありがとうございました。
城東支店 開発営業部
大野 駿太