賃貸経営メールマガジン

賃貸併用住宅は将来性の計画を

賃貸併用住宅
2016/8/4

2015年は相続税改正を受け住宅着工で非常に人気を博した賃貸併用住宅ですが、今だ熱い注目を浴びています。住宅展示場の至る所でこの幟や案内を目にしますね。一昨年程前までは、建築営業マンから併用案を持ちかけていたのに、今年はこの超低金利で一層拍車がかかっているのでしょう、賃貸併用住宅を検討したいとお客様側から相談に来られる方が増えているそうです。

 

「賃貸部分から得られる家賃収入が、自宅購入資金の返済に充てられる」点で、住みながらにして稼げる!タダで自宅を手に入れる!返済後の収入はすべて将来の私的年金に!など夢のような文句も聞かれます。

 

ご存知かと思いますが、賃貸併用住宅であっても自宅部分の床面積が賃貸部分のそれを上回る場合には賃貸部分も含んでマイホームローンが利用できますから、アパートローン(事業用ローン)に比べ低金利で組めることが魅力です。耐用年数22年の木造も35年返済が可能ですし、手元資金が少なくても始められ、さらには審査スピードさえも早いなど、多くの点で非常に魅力的です。

 

加えて相続時では、賃貸部分は借家権発生により3割評価減が活用できるほか、改正後の小規模宅地の特例では貸家建付地との併用で評価減が拡充され、借入金残高と併せれば節税効果が非常に高いことも動機付けの要因になっています。

 

しかし、これはまだ計画段階の話です。

 

賃貸併用住宅は確かに家賃収入がローン返済を補うわけですが、マイホームローンの場合ですと金融機関の審査において家賃収入は返済原資としてみられていません。あくまで施主の給与所得を原資とした計画的な返済が可能かどうかを年齢や勤務先、信用度などの属性から審査し、その上で賃貸部分は評価の加点を落とすものでないかを判断されます。自宅のみの計画に比べ、賃貸部分の施工費も加えて重くのしかかるわけですから、固定期間が終わり金利が見直された場合などは、借入額が大きい程負担も大きく跳ね返ることを忘れてはいけません。

 

ありがちな見落としはここからです。さらに将来が見えていないケースです。賃貸部分が稼いでくれる内は返済計画は安泰だと言えるのでしょうか。賃貸部分の賃料が下落した場合のリスクを収支計画に見込んで無いケースは非常に多いようです。返済に加えないでおくはずの自身の給与が減ってしまった場合や、子供の成長で他に掛かる費用が圧迫されることも考えられます。自宅だけなら建物修繕を先延ばしにして我慢して住み続けることは出来ますが、賃貸併用ですから、必要な修繕を待ってもらう訳にもいきません。部屋を直さなければ次の入居者も決められません。これらを賄っても余裕があるだけの賃貸併用計画でなければ、良い計画だとは言い難いでしょう。

 

自宅の建替えで賃貸との併用を検討される方に誤解があるのは、住み心地と借り心地は似て異なるということです。長年住んでいるオーナー様には愛着のある場所です。しかし、賃貸経営に向く土地であるかは別なのです。建築会社の中には相続税対策でやりましょうとおっしゃる方もいるかもしれませんが、賃貸併用住宅とはその一部は自宅ですが、残りの一部はまぎれもなく投資です。

 

ご自身がその家に住めなくなる時の出口も見込んでおかねばなりません。売却をしようにも、中古では残りの耐用年数でしか融資が組めない点で買い手がつきづらく、一般にファミリータイプになる自宅とそれよりコンパクトな賃貸世帯では入居者の層も異なりますから、ライフサイクルなど相容れにくいストレスを感じやすく、広すぎる自宅部分の貸し出しは、意外と容易にいかないことも多いのです。

 

リスクの話ばかりしましたが、賃貸併用住宅に反対しているわけではありません。デメリットやリスクも知り、将来の備えも盛り込んで納得した計画を立てていただき、自宅も賃貸も失うことが無いようにしていただきたいと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

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