賃貸経営メールマガジン

文化財保護法と包蔵地

2015/7/30

皆さんこんにちは、清水が担当いたします。

 

私たちは文化財の保存・活用を目的とする『文化財保護法』の元、国民のかけがえのない財産を守る義務を負っています。

実は住宅の建築においてもこの法に大きく関わることがあります。文化財の中でも地中に埋まっているものを『埋蔵文化財』といい、住宅やビルの建て替えなどの目的で既存建物を解体した後、地盤改良を行おうとしたら遺跡や文化財が出土したなんてことが稀にあるのです。

 

東京の都心部であっても例外ではありません。集落跡や貝塚などが発見され、縄文時代の土器や石器、近世の銭貨、人骨(墓)などが出てくることもあります。

主に出土される地域は『埋蔵文化財包蔵地』に指定され、この地域やその周辺地域において土木工事や建築工事を行う場合、遺構を滅失してしまわないために事前に遺跡の有無を確認する調査を必ず行わなければなりません。

建築に着手しようとする日の60日前までに埋蔵文化財発掘届を東京都教育委員会へ提出することが義務付けられています。

近年では、インターネットでも目的の場所が包蔵地に該当するのかどうか、東京都遺跡地図情報から検索する事が出来ます。これを見ると、地図上に赤く表示された地域が予想以上に多く、私は非常に驚きました。

 

包蔵地の試掘調査(工事が埋蔵物に影響を及ぼすものかどうかを判断するもの)は公費で行われ、20?30坪程度の敷地で比較的浅い範囲の工事なら1日で終わる事もあれば、敷地の広さによって数日程度かかる場合があるようです。

国民の財産であるとはいえ、施主の目的にとっては何も影響が出ないことが望ましいですね。

しかし工事を行う範囲(深さ)に遺跡があると認められれば、施主は協議を行わなければなりません。事前に60日を確保した中でその発掘が終われば工事自体には影響を及ぼさずに済みますが、一部の助成があるもの(自宅の建替えなどやむを得ないもの等)をのぞき、アパートやマンション等の事業目的の建築には助成金が出ませんので、施主の費用負担により本調査を行う必要が出てくるのです。工事内容を変更したり避けたり出来れば一番良いのですが、発掘範囲やその後の工事着手への時間的影響を考慮した場合、調査人員を増やすほど費用も嵩んでしまいます。

 

このような予測のつかない“見えない費用”は建築計画にはつきものだと初めから考えておくことはとても重要です。埋蔵文化財の学芸員の方の話を伺うと、指定された包蔵地以外から出土することもたまにあるそうで、施主が費用負担することを知らない方は非常に多いのだそうです。

借地である場合には土地所有者の承諾も必要です。さらに出土品は文化財保護法の趣旨から国民の財産と考え、当然に権利を放棄しなければなりません。

 

このような知識も頭の片隅にあれば、心と資金の準備が少しは出来るのかもしれませんね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

PICK UP
全カテゴリー注目NO1

TOP