賃貸経営メールマガジン

更新料一部無効の判決

更新料
2012/4/12

皆さんこんにちは。今回は佐々木が担当いたします。
最高裁で更新料が有効と判決を下してから、軒並み同様の更新料裁判では、更新料有効の判決が下されておりましたが、2月29日、京都地裁において更新料の一部無効の判決が下されました。本件訴訟において、なぜ更新料が一部無効とされたのでしょうか。今回はこれについて述べたいと思います。

 

訴訟の対象物件

単身用賃貸マンション

賃料  月額48,000円

更新  一年更新 更新料150,000円(月額賃料の3.12か月分)

 

借主は平成16年に契約し、退去するまでの間、3回の更新料の支払をしている。退去後、平成21年に、京都地裁に、支払済み更新料450,000円の返還を求める訴えを起こしていた。

 

京都地裁は、更新料の上限を年額賃料の2割までと判断し、それを超える分については消費者契約法第10条に違反し無効として、被告に対し、超過分更新料の返還を命じております。今回、更新料が高額すぎること、また、更新料の上限を年額賃料の2割までと判断した理由として、?表面的な賃料を低く表示して、契約の誘引をしたうえで契約に至っている点において、消費者契約法第10条後段の「基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に該当しており、信義則に反する部分は無効であり、更新料の額を減額すべきであること。

?ワンルームマンションの更新料の相場が、全国的にみて、2年ごとに月額賃料の1ないし2か月分程度であること。また、それは40年近く変わっていないこと。

?他の事案で、1年契約の賃貸借契約において、月額賃料2.2か月分の更新料が有効であるという判決があること。

?利息制限法の利息の上限が年率2割であること。

としています。

従って、本件においては、

年額賃料576,000円の2割=115,200円(賃料の2.4か月分)

これが更新料の上限であり、差額の部分(150,000円?115,200円×3回分=104,400円)を返還せよというものです。

 

本件事案のように、「高額すぎるなどの特段の事情」があるとしていること、また、更新料の上限を2割と判断しているのは、最高裁の更新料有効判決以来初めてのことです。

下級裁判での判決であるため、これにより更新料の上限が明確化される可能性は少ないと思います。現に、直後の3月8日の大阪高裁での事案は、1年契約で更新料2.94か月分の更新料は、すべて有効と判決されております。本件事案においては、貸主側は控訴し、大阪高裁で再度争われることになります。

 

更新料が一部無効と判断された今回の事案は、今後高裁、場合によっては最高裁の判断に注目していくべきと考えます。本メールマガジンにおいても、今後の動向を述べていきたいと思います。

 

お付き合いありがとうございました。

 

 

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