『入居者の意識調査』をもとに
2012年1月の賃貸住宅着工数は前年同期比で5ヶ月ぶりの増加と、まだまだ賃貸業界は活性化しています。
しかし、日本の総人口は2012年2月現在で1億2770万人となり、前年同月より28万人減であると発表されました。
年々人口は減少の一途をたどり、賃貸物件は供給過多になるだろうとささやかれています。
けれども賃貸物件の差別化が叫ばれる一方、コストや利回り、立地の面からいまだ居室6帖弱の1Kを建てるオーナー様も少なくありません。
“このエリアなら新築当時は入居してもらえるから”
“この設備は賃貸としてはぜいたくだから不要”
オーナーサイドの立場でそう考えていても、目の肥えた入居者は、もっと厳しいかもしれません。
全国宅地建物取引業協会が昨年2011年におこなった【一人暮らしに関する入居者意識調査】。
今回の調査結果で、一人暮らしをしている入居者の希望部屋タイプは、1LDKが35%、1DKが31%、1Kが12%となりました。
2人入居物件としてオススメだった1LDK。
もはや1人でゆったりと生活したいと考え1LDKを好む人も多いようです。
そして入居者が重視している点が、収納スペースの確保。
バス・トイレ別やエアコン付きは当たり前。
どれだけの収納があるかが、男女ともに重要視されています。
最近は1Kの単身タイプの部屋でもウォークインクローゼットがついている物件が増え、人気の高さがうかがえます。
さらに、朝食や夕食を自炊する人は80%を超え、2口コンロなどキッチン周りの充実が求められています。
しかし、そのような好条件を希望していても、家賃を収入の30%に抑えたいと考えている人は全体の5割を占め、収入の40%と考える人はわずかに1割。
理想はあっても、出せるものは少ないというのが現状のようです。
そのため、入居者が望むすべての条件を取り入れて賃料を高く設定するのではなく、オーナー様の理想と入居者の理想、その兼ね合いやバランスが重要となってきます。
先見の明が重要な賃貸経営。
10年前はクッションフロア、1口ガスコンロ、2点ユニット(お風呂と洗面台がセット)が主流でした。
そして現在では当たり前の設備(2口ガスコンロや独立洗面台など)が、10年前にはぜいたく品として考えられていました。
では、10年後の賃貸は・・・?
例えば、最近、環境不動産という言葉をよく耳にしますが、環境に配慮する賃貸物件まだあまり見受けられません。
しかし、今、注文住宅で密かなブームとなっているスマートハウスも、あと数年で爆発的に賃貸市場に流通している可能性が十分にあります。
賃貸『経営』と呼ぶ以上、収支・利回りを考えることは大切なことですが、オーナーサイドも、賃貸経営をまかせっきりにするのではなく、現状を把握し、賃料相場が下がってきていること、付加価値としての設備提供がいかに重要であるかを実感することも大切です。
そして、入居者の希望をすべて取り入れるのではなく、費用対効果に見合った賃貸物件を作ることが賃貸経営成功の秘訣と言えるでしょう。
そのうえで、管理会社と二人三脚の関係を築いていくことが大切な資産を守る最大の方策なのではないでしょうか。