賃貸経営メールマガジン

敷引き有効判決の影響について

敷金・保証金
2011/5/12
賃貸経営・アパート経営ならヒロ・コーポレーション

皆さんこんにちは、今回は佐々木が担当いたします。

先日のメールマガジンで、敷引きが有効であると最高裁判所で判決されたことについては述べさせて頂きました。それから1ヶ月半ほど経過した今、賃貸経営にどのような影響が出ているのでしょうか。これについて今回は述べたいと思います。

 

今回の判決内容を要約すると、敷引き特約は、経年変化など通常損耗の修繕費用に充てるものであって、その負担を借主に対して明示しており、かつ借主も認識している。また、契約時に、修繕費用の定額精算は、借主にもわかりやすく、合理性があるとのことから、原則敷引きは有効だが、その額が高額すぎるときは無効と判断しております。

今までは、借主と貸主との間には、情報力・交渉力の格差があることから、借主に不利益な条項は、消費者契約法第10条に違反し無効であると判断されています。敷引き特約もそのように判断された判決が数多くありました。

しかしながら今回は、消費者契約法第10条に違反するとは必ずしもいえないと判断しています。賃貸借契約において、消費者契約法第10条を広く適用すべきだという流れを是正させる判決だと思います。

このことにより、敷引きを採用していた貸主はもちろん、敷引き制度のない関東圏においても、原状回復のトラブルの観点から、敷引きを採用される貸主は増えてくるのではないかと思います。但し、すべて敷引きが有効であるわけではありません。

ポイントは、

?敷引き金が高額すぎないこと。

?礼金などの一時金を取得していないこと。

?敷引き金が通常使用等の損耗による修繕費用に充てられることが明記されていること。

最低でもこの3つは重要だと思います。有効判決が出たとはいえ、契約ごとに判断が変わってくるので、新たに敷引きを、と考えている方は、慎重に考えたほうが良いと思います。

 

最後に、今回の判決と同じように注目されているのが、更新料裁判です。

早ければ今年の夏ごろ、最高裁判所の判決が下されます。更新料裁判の争点が、消費者契約法第10条に違反するか否かであるため、敷引き有効の判決により更新料も有効と判断されると考えるべきではないと思います。

しかしながら、消費者契約法第10条を適用するか否かという点では、共通点があることから、影響が少なからずともあると思います。更新料裁判の上告審は3件あり、それらを一括して審議し、統一判断を下すとのことです。

この判決による賃貸経営への影響は、かなり大きいものとなるでしょう。それだけに、良い結果となることを期待したいと思います。

今回はここまでです。お付き合いありがとうございました。

 

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