賃貸経営メールマガジン

建築費高騰でより気を付けるべき「利回り」

購入・売却不動産市況投資建築計画
2022/7/14

さて、コロナ禍での生活様式がある程度確立(慣れ)されてきて、ようやく経済も安定してくるかと思いきや、ロシアによるウクライナ侵攻や凄まじい円安で物価の上昇にも影響が出てまいりました。

 

特に円安動向は輸入に頼っている住宅設備や建築資材の高騰に大きく影響しています。

建築坪単価にすると5~10万円の値上がりをしたとのお話や見方もあり、これから建築をされる方にとっては悩ましい問題です。

 

とはいえ、目ぼしい良い土地が見つかったり、遊んでしまっている土地を所有・相続されていたりと、可能な限り早く建築しないといけない事情等もあるでしょう。

 

そこで、今回はどこの建築会社で賃貸物件を建築するかの判断基準ともなる「利回り」という数値についてお話させていただきます。

※今回、本当に申し上げたいことは終盤にありますので、最後までお読みいただけますと幸いです

 

まず、「利回り」とは投資した資金に対して、「どれだけの収益が得られるか」または「どれぐらいの期間で回収できるか」を数値化したものになります。

例えば年間の収入が500万円得られる建物を5,000万円の建築費を費やし建築したとしましょう。

この場合は下記のような計算式で利回り数値を算出します。

500万円÷5,000万円=0.1

となります。

この0.1を%で表しますので、0.1×100=10%

ということになり、利回り10%ということになります。

 

ちなみに「利回り」が10%の場合は10年で投資した資金を回収、20%の場合は5年で回収できるというイメージになります。

ですから、利回り数値が大きければ大きいほど「儲かる」または「安全」な物件であると判断するバロメーターになります。

 

しかしながら、実際に賃貸物件の運営には様々な維持費や修繕費等の経費、税金等かかる場面があります。また、この先10年20年とずっと同じ賃料で運営できる可能性は極めて低いです。これらの諸経費等や賃料の下落を考慮しない利回り数値を「表面利回り」と言います。

対して、実際にかかるであろう費用や賃料の下落等を予想できる範囲で算出した利回りを「実質利回り」と言い、より実践的で参考になりそうな数値になります。

あとは中古物件で空室の部屋も相場(想定)賃料を入れて算出する「想定利回り」というものがありますが、今回は新築を建築するお話なので、割愛いたします。

 

では、「表面利回り」と「実質利回り」のどちらを参考にすればいいのか?

答えはタイミングによります。

「実質利回り」がすぐに得られるのであれば、より実践的に近いこの数値を参考にしたいと思います。

ですが、「表面利回り」よりも緻密な費用計算が必要で算出に時間や材料が必要になる場合があるため、計画初期段階では「実質利回り」の算出が出来ていない状況が多いです。

ですから、計画初期段階で様々な建築会社を比較される際は「表面利回り」を参考にして頂いても差し支えないかと考えます。

 

そして、ようやく今回申し上げたいことをお話させていただきます。

これらの「利回り」に共通していることは収入の金額で計算するということです。

賃貸経営における収入とは賃料のことですが、この「利回り」の根拠となる賃料がどのように求めた賃料なのかを見抜かなければなりません。

 

皆様が提案を受ける際には「だいたいどれぐらいの賃料が取れるの?」ということに関心が強いと思うのですが、失敗しない賃貸経営をするためにも近隣の類似物件事例を基にした相場賃料で提案を受けて頂きたいと思います。

 

なぜこのような事を申し上げるのかと言いますと、ここまでお話をさせて頂いた「利回り」数値に固執されすぎている方々を多く見てきているからなのです。

最近見かけるご計画に対する収支計画表の中で、表記されている「利回り」の計算の基となる賃料を見ますと、相場を逸脱していることが多々あります。相場の賃料で計算しているのではなく「利回り」ありきで利回りから逆算して賃料をつけたと思える収支計画表が散見されます。

 

一般的に土地を既に所有されていて土地取得費用が不要な場合は利回り8~10%のご計画であれば、合格点(安全)と言えます。

(土地の取得費がある場合は5~7%)

 

1Kタイプが賃料80,000円の相場の街区で、相場賃料通りに戸あたり80,000円で利回り計算をすると7.5%の利回り表記になってしまうが、賃料90,000円だと利回り8%台に乗るため、収支計算表に相場を逸脱した戸あたり90,000円の賃料で利回り8%と表記されたりしているものを見かけます。

 

入居希望者さんもお部屋探しをする中で、他の物件と比較しているわけですから、80,000円で借りられるお部屋を90,000円で借りる方はなかなかいません。

当然、相場賃料から乖離があるわけですから、入居募集しても成約しない又はしづらいという事態を招いてしまいます。

 

もちろん、相場通りの賃料または安全を見た賃料で利回り計算をして下さっている建築会社さんやハウスメーカーさんもたくさんありますが、誰もが閲覧できるお部屋検索サイト等のポータルサイトで相場を確認しようにも表示されていない情報もあります。ですので、その賃料が本当に相場通りなのかはなかなかわかりません。

その場合は、信頼のおける賃貸管理会社へその賃料が相場に沿っているかを必ず確認して頂きたく思います。

 

建築費が高騰しても賃料相場は上がりません。建築費は円安や物価上昇で変動しますが、賃料相場はそれらが起因して変動するわけではありません。あくまでもニーズで変動するものです。となると、利回り数値が低くなりやすいことは必然です。したがって、利回り数値が良い場合、今まで以上に相場賃料なのかのチェック体制は強化したいところです。

 

弊社では皆様のご計画が適正で安全であるかの判断を第三者機関のような目線で助言が可能です。

また、建築費高騰をしている中でも、相場賃料で安全な賃貸経営が叶うお手伝いもさせて頂くことが可能です。

 

新たに賃貸のご計画をされる際は、是非弊社へお気軽にご相談ください。

 

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

アンサー事業部 夏 啓安

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