カーボンニュートラルに対する賃貸住宅の現状と今後について
2020年10月、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。
カーボンニュートラルとは排出を全体としてゼロというのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、植林、森林管理などによる吸収量を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。
賃貸住宅では近年ZEH対応のアパートも増えてきました。
積極的な補助金と省エネ、創エネによるアパートオーナー様の直接的な恩恵や快適性の向上による入居者の満足度向上で、各メーカーが着工戸数を増やしております。
補助金や省エネといった直接的なメリットがあるので賃貸住宅のZEH化は徐々に進んでおり、温室効果ガスの排出量に関していえば、ZEH賃貸の増加はカーボンニュートラルに貢献しているといえます。
そして補助金の他にもカーボンニュートラルの動きを加速させる出来事がありました。
2021年12月、不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)の定める賃貸の広告に関するルールが変更されました。
従来であればRC造や鉄骨造の強固な作りの賃貸住宅はマンション表記とされ、軽量鉄骨造や木造はアパートと表記されておりました。
ですが、ルールの改定によって軽量鉄骨造や木造であってもマンション表記が可能となりました。
対象となる物件は新築、中古、木造、軽量鉄骨造を問わず
・3階建て以上
・集合住宅(タウンハウス、テラスハウスなどの連棟式物件を除く)
となっており、さらに建物の性能に基準がある。
ここが大きなポイントで「住宅性能表示制度による住宅性能評価書」で以下2つの条件を満たしている必要がある。
①耐久性「3-1.劣化対策等級(構造躯体等)」が等級3
②耐震性「1-1.耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)」が等級3。
または耐火性「2-6.耐火等級(延焼のおそれのある部分(開口部以外))」が等級4もしくは耐火構造 また、建物性能条件については「設計」「建設」いずれからの「住宅性能評価書取得済の建物」であることが必要となります。
木造住宅メーカーにとって、安かろう悪かろうの賃貸アパートによって収益性を高めるのではなく、高性能の木造マンションを建てることで高い賃料によって事業性が高めることが可能となり、各社動きが活発化しました。
その中でも木造マンション、木造ビルの先駆けとして動きを見せているのが三井ホームとアキュラホーム改めAQ Groupとなります。
三井ホームは木造マンションのシリーズとしてモクシオンという商品を早くから開発しており、第一弾を稲城に、第二弾を四谷三丁目に大型のモクシオンを建造して木造の相場以上に賃料で貸すことに成功しております。
AQ Groupは2022年10月に川崎展示場に完成した木造5階建てビルを皮切りに、2024年10月にはさいたま市西区に木造8階建ての木造ビルを新社屋として建築しております。
日本で最も普及している木造軸組み工法の製材、プレカット加工技術などの生産システムを使い、従来の木造ビルの3分の2のコストで建設できるようです。
またAQ Groupは、コロラド鉱山大学が実施している10階建て木造ビルを試験体とした世界最大の木造実物大耐震実験「NHERI TallWood Project」に参画。様々な条件下で知見を得ることで、日本の木造建築技術と木造注文住宅や木造賃貸住宅のさらなる発展を目指しています。
AQ Groupの川崎展示場に完成した木造5階建てビルは中が賃貸仕様の間取りもあり、今後は賃貸住宅業界により積極参入していくことが予想されます。
木造メーカーは世界的なカーボンニュートラルの推進とコロナ禍で物流が停滞したことによって起こったウッドショックにより苦境に立たされておりました。
今や日本の木材自給率は40%程度となっており、多くの木材を輸入に頼っている状況にあります。
日本のカーボンニュートラルの発展には、木造住宅の建築による木材自給率の上昇と森林管理の拡大は必要不可欠になります。
アパートの建築をお考えの皆様、ヒロ・コーポレーションでは様々なメーカーでのプランの計画から、正しい市場の把握、正しい間取りのご選択により、皆様にぴったりのご計画のご相談が可能となっておりますので、お気軽にご相談ください。
神奈川支店 アンサー事業部
西尾 和人