賃貸経営メールマガジン

遺言の必要性 その2

2015/1/15

昨年12月に青酸化合物で夫を殺害したとして、京都府向日市の筧千佐子被告人が殺人罪で起訴されました。本人は容疑を否認していますが、週刊誌やテレビでは、これまでの経歴などが大きく報じられていて、その際に被告人の逮捕前のインタビューで『公正証書遺言』が取り上げられ、話題となっていました。

前回のメールマガジンの「自筆証書遺言」と今回の「公正証書遺言」には、どんな違いがあり、メリット・デメリットがあるのか?見ていきたいと思います。

 

公正証書遺言とは、公証役場で公証人に作成してもらう遺言のことです。

遺言者が本人であることを証明するため、実印や印鑑証明書などを揃えます。次に、2人以上の証人と一緒に公証役場へ行き、遺言者が遺言の内容を口頭で述べます。

公正証書遺言では、遺言者の真意を確保するため、2人以上の証人に立ち会ってもらい遺言者が述べた遺言の内容は、公証人によって筆記されます。そして、公証人が筆記したものを遺言者と証人に読み上げたり、閲覧させます。そして遺言者本人と証人が、筆記したものを確認した後、署名押印をします。最後に、公証人が手続きに従って作成した旨を付記して、署名、押印します。

なお、遺言者が遺言をする際に、どんな内容の遺言にしようか悩む場合に公証人は、適切なアドバイスをするなどして、遺言者にとって最善と思われる遺言書作成の手助けをしてくれます。また、体力が弱ってしまったり、病気等の事情で遺言者が公証人役場まで行けないときは、遺言者の自宅又は病院等へ公証人に出張してもらうことも可能です。

 

遺言を公正証書で作成した場合に効力を発揮するのは、遺言者が亡くなった時です。

本人が遺言を保管した場所を相続人に知らせずに亡くなった場合、遺族は家中を探さなければなりませんが、作成された公正証書遺言の原本は、公証人によって保管されますので、紛失や偽造される心配はありません。また公証人や証人が遺言者の意思をしっかり確認しているので遺言の内容に異を唱える相続人がいたとしても、遺言者の意思を確実に実現できる点でも安心ということが言えます。

 

公正証書には『執行力』といって、判決と同じような効力があります。仮に内容が守られなかった場合でも、公正証書があれば、裁判をしなくても強制執行が出来るというメリットがあります。

自筆証書遺言の場合は、発見されたら家庭裁判所で『検認』という手続きが必要ですが、公正証書遺言の場合、『検認』は必要ありません。すでに作成時点で、公証人や証人が内容を確認しており、公証役場で保管しているため偽造される心配がない為です。その為、遺言の実行が迅速に行われる点もメリットと言えるでしょう。

 

デメリットとしては、公正証書作成時に手数料がかかってしまいます。手数料は相続財産の額によって変わってきますが、財産が多くなるほど高くなっていきます。また2人以上の証人が必要になってしまいます。証人には遺言の内容が知られてしまいますので、証人の人選にも気を配る必要があり手間がかかってしまうという点です。

 

最後に公正証書作成時に必要な書類等をまとめておきましょう!

(1)遺言者の実印・印鑑証明書

(2)遺言者と相続人との続柄を表す戸籍謄本(相続人以外の人に遺贈する場合、住民票など)

(3)証人の住民票と認印など

(4)通帳のコピー

(5)不動産の場合は、登記簿謄本および固定資産税評価証明書など

※公証役場によっては、準備する書類等が異なることがありますので、各役場で確認して下さい。

 

 

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