賃貸経営メールマガジン

更新料有効の判決

更新料
2011/2/10
賃貸経営・アパート経営ならヒロ・コーポレーション

皆さんこんにちは。今回は佐々木が担当いたします。

更新料を無効とする大阪高裁の判決が出て、その上告審である最高裁の判決が待たれる今、昨年10月29日に、京都地方裁判所で更新料を有効とする判決が下されました。大阪高裁の判決以来、後に続く”更新料裁判”については、おおかた、更新料を無効とする判決が下されるのではないかと予想されていたのですが、どういう理由で更新料が有効と判断されたのか、述べたいと思います。

本件についての契約内容は以下のとおりです。

入居;平成18年11月(判決当時も入居中)

月額賃料;4万8000円 共益費;1万1000円 水道代;2000円

敷金;30万円(敷引25万円)

更新料;1年ごとに10万円

平成19年10月・平成20年10月・平成21年10月に計30万円の更新料の支払い

原告である入居者は、更新料は消費者契約法第10条に違反しており無効であると主張し、支払済み更新料の返還を求めていました。

契約の内容については、平成21年10月の大阪高裁で更新料無効と判決が下ったときの契約内容とさほど変わりありません。しかし、更新料の法的性質の解釈が、大阪高裁では『賃借権設定の対価の補充』と判断されたのに対し、本件では、一部賃料の前払い及び違約金の性質を併せ持つとされています。

 

少なくとも賃料の性質を持つ、経過部分の更新料については消費者契約法第10条に違反しないと判断しています。経過部分を除いた部分は、更新料を返還する約束がないことから、中途解約する代わりに、その部分を違約金とすることと合意しているようにみることが出来るとしています。

違約金条項の有効性は、消費者契約法第9条の問題であり、同法第10条の問題ではないとしています。その違約金の額が、実際の損害を超える部分が無効となりますが、賃料の1月分程度であれば、平均的な損害と判断しています。

消費者の利益を一方的に害するか否かの判断として、月額賃料は安価に設定されており、更新料が発生することにより、不当に高額の賃料を負担させているとは認められず、また、契約書に更新料がはっきりと明示されており、消費者が容易に知ることが出来るため、賃料を安く見せて、消費者を欺くものではないとも判断しております。

今回の判決は、非常に注目すべきものと考えます。早いものでは今年中に最高裁での判決が下ります。今回の判決がどの程度影響があるかはわかりませんが、今後の更新料対策においては、大変参考になるのではないでしょうか。

お付き合いありがとうございました。

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