賃貸経営メールマガジン

賃貸マンションのエレベーターは何階建てから必要?

構造住宅設備建築計画
2021/6/17

2020年から新型コロナウィルス流行による緊急事態宣言が乱発され、今年も大変な世の中になってしまったなと思いを巡らせているなか、思わず忘れ去られている問題を思い出してしまいました。

 

皆さまもご存知かとは思ったのですが、主に少子高齢化が起因する人口減少や人口分布の歪みが生じることによる下記のような【2020年問題】です。

 

【主な2020年問題】
・労働力不足など雇用の問題
・介護の問題
・教育の問題
・空き家などの不動産の問題

等など。

 

我々のような不動産業界からしても非常に密接かつ深刻な課題ばかりで、2020年以前から着目され様々な対応策の検討がされました。

 

冒頭で申し上げました通り、それどころではない世の中になってしまいましたので、改めて2020年問題について考えてみようと、色々と調べておりましたら少しマイナーなエレベーターの2020年問題というものがありました。(マイナーであるという感想は個人的な感想であります)

 

一般的な2020年問題というものは、実は挙げようと思えばもっとたくさんの様々な種類があり、エレベーター問題は人口減少が起因するものではない少しジャンルが異なる問題ではあると思うのですが、賃貸マンションに密接でありますので、エレベーターの必要性等とあわせて触れさせて頂きます。

 

エレベーターの2020年問題とは一言で申し上げますと、エレベーターの更新時期を迎えるマンションが多くなるという問題です。

 

バブル以降の1990年代に建設された建物のエレベーターの年間設置台数は、昨今のエレベーター年間設置台数よりも4割ほど多かったそうです。そして、エレベーターの更新時期は設置後20~25年後を推奨されており、2020年以降に更新時期を迎えるエレベーターが膨大な数にのぼるとのことです。

 

更に大手エレベーター各社が2020~2024年頃までにかけて、当時に製造していた旧式エレベーター部品類、主にエレベーターの核となる制御盤に使用される部品の製造供給を停止してしまうとのことです。

 

したがいまして、エレベーターのリニューアル更新を余儀なくされる建物が続出していくわけですが、当然ながらエレベーターの導入費用がまたかかってきてしまいます。
一般的にエレベーターの本体費用はものによりますが、ざっくりと3人乗りで600~800万円、9人乗りで1,000万円あたりかと思われます。さらに工事費は別途かかります。

 

エレベーターは人を運ぶものですから命を運んでいると言っても過言ではありませんので、安全性を担保しなければなりません。
寿命だったりメンテナンスが充分に施されていない状態で事故が起こってしまえば所有者責任にも及ぶ可能性もありますので、いずれ訪れるリニューアル更新は避けられません。

 

想像しただけでも大きな費用がかかるエレベーターですが、毎月のメンテナンス費用もランニングコストとしてかかりますし、事故が起これば面倒なイメージを持たれ、賃貸マンションの新築計画では、導入を臆するオーナー様も多くいらっしゃいます。
しかしながら、賃貸マンションのご計画では当然エレベーターを設置した方がよいケースもあります。

 

建築基準法では建築物が高さ31メートル(7~10階建て相当)をこえる場合は、エレベーターを設置しなければなりませんが、6階建て以下でのエレベーターの設置の必要性はどうでしょうか?

 

賃貸マンションでは4階建てまではエレベーターの設置がなされていない物件が多いように思います。
皆さまご想像が容易かと思いますが、4階までであれば若い方は毎日階段を上れそうな気がします。

 

5階建て以上はいかがでしょうか?
若い方でも毎日5階まで階段を上ることとなると少しきつくなってきますので、なんとなく5階建て以上からエレベーターが必要な気がします。

 

そのため、実際にエレベーターのない5階建ての賃貸マンションの5階の住戸は最上階にも関わらず、4階以下の住戸より賃料が低いケースがほとんどです。
物件によっては1階の住戸よりも5階の賃料の方が安い事例もあるほどです。

 

したがいまして、5階建て以上のご計画をされる場合は是非エレベーターの設置をご検討いただきたいのですが、先述の通り設置のイニシャルコストやメンテナンスのランニングコストが収支の足を引っ張ります。

 

もちろんエレベーターを設置すれば各戸の賃料も高く設定できるのですが、例えば、5階建てのご計画であるけれども1フロアに1戸・2戸しかない場合は4階建てのご計画に縮小した方が良い場合もありますし、5階建ての5階部分の賃料が低くても収支が合うようであれば、5階建てのご計画を強行しても良い場合もあります。

 

また、前述のとおり若い方は体力があるケースが多いので、学生が多いのかファミリーが多いのか等の賃貸市場の地域性であったり、1フロアに何戸あってエレベーター設置により増額できる賃料の一棟合計額で、エレベーター設置費用とメンテナンス費用が賄えるかが判断基準として大切かと思われます。

 

ここで挙げさせて頂いた判断基準は一例でありますので、他にもエレベーターの設置が不要なのか必要なのか、何階建ての計画が良いのか等の判断基準はあります。
したがいまして、様々なケース・パターンがあることで、正しい判断が難しい場合がほとんどです。

 

何階建てのご計画が良いのか、エレベーターは設置した方が良いのか迷われましたら、適切なアドバイスやご提案をさせて頂きます。
その際は弊社へお気軽にお申し付けください。

 

本社 アンサー事業部
夏 啓安

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