不動産家賃収入にかかる税金について
家賃収入で収益を得ると、その不動産所得に対しては税金がかかってきます。かかる税金は主に所得税と住民税ですが、それらの税額は所得の金額によって変化します。今回は、家賃収入を得たときにかかる税金の算出方法や申告の流れについてご紹介します。
・家賃収入にかかる税金とは?
税金は家賃収入全体にかかるわけではなく、家賃の収入から経費の支出を差し引いた「不動産所得」に対してかかります。
◇不動産所得にかかる税金の種類と計算方法◇
① 所得税
所得税は、不動産所得以外にも給与や個人事業の利益など、1年間で得た利益に対して課税されます。課税は「累進課税」と呼ばれる方法によって、所得が多額になるほど税率が高くなる仕組みが採用されています。
所得税の計算式は、[課税される所得金額×税率-控除額]で算出されますが、収入によってかかる税率が5%~45%と変わってきます。
② 住民税
住民税も所得税同様に、所得に応じて課税される税金です。住民税は、1月1日時点で住民票がある地域に納付する税金です。納付した住民税は、地元の市区町村の自治体と、その市区町村がある道府県によって使われます。
住民税を算出する計算式は、所得割額(所得金額-所得控除×10%-税額控除)+均等割額=住民税となります。
③ 消費税
通常、不動産所得は消費税の課税対象となりますが、不動産所得を得た物件が居住用であれば消費税はかかりません。一方、オフィスや店舗など事業用賃貸物件の場合は、不動産所得が1000万円を超えると課税されます。
仮に、居住用と事業用がつながっている物件で不動産所得を得た場合は、居住用と事業用の面積比で、不動産所得を割ることで課税額が算出され、事業用物件の面積比分の不動産所得が1000万円を超えた場合に消費税が課税されます。
事業用賃貸物件の所得が1000万円を超える場合は消費税課税事業者となるため、消費税課税事業者である旨を速やかに届け出なければなりません。1000万円以下の場合は免税事業者となりますが、その場合でも課税業者になることを選択することもできます。
以上の所得税、住民税、消費税が家賃収入にかかる税金です。このほかに、不動産を所有しているだけで毎年かかる税金として「固定資産税」「都市計画税」が、不動産取得時に1度だけかかる税金として「不動産取得税」が挙げられます。
・確定申告は必要?
家賃収入で生計を立てている人も、副業として家賃収入を得ている人も等しく、家賃収入がある場合は、基本的に確定申告が必要です。
確定申告が必要な人は、公的年金や生命保険の満期返戻金などの「雑所得」以外の所得が年間20万円以上の人です。つまり、家賃収入で生計を立てている人は、ほぼ全員確定申告が必要といえるでしょう。
所得が20万円以下の場合や、赤字となった場合でも確定申告を行うことをおすすめします。なぜなら、家賃収入が必要経費を下回って赤字になった場合でも、不動産所得はほかの所得と合わせたうえで必要経費を差し引けるため、所得全体の課税対象額の軽減につながるからです。
年金受給者や副業で家賃収入を得ている会社員であっても同様です。年金や給与以外の所得が20万円を超える場合は確定申告を行う必要があり、20万円以下の所得であっても、必要経費を差し引けるため、確定申告することで納税額が軽減できる可能性があります。
小規模の不動産を所有していて所得がある場合は、税金がかかりますが、税金の種類や内容、税率、控除額などを正しく理解して確定申告を行えば、節税できる可能性もあります。
不動産所得があり、節税したい場合は税務が複雑になります。税金で分からないことや不安なことがある場合は、税理士の先生等もご紹介できるのでお気軽に弊社までお問い合わせください。
城東支店 アンサー事業部
原田 雅章