賃貸経営メールマガジン

民泊・旅館業と賃貸物件の相性

メンテナンス・管理トラブル不動産市況
2021/10/7

 

不動産の有効活用法といえば賃貸物件としての運用が最もメジャーであると思われます。

『その他には?』と言われると

レンタルスペースやインバウンド需要を見込んだ民泊や旅館業が挙げられます。

しかしながら、昨年からの新型コロナウィルスによって、インバウンド需要を見込んだこれらの活用法等には陰りが見えております。

 

『何故陰りが見えているのか?』

言うまでもなく、渡航や入国制限がかかっているからでありますが、加えて緊急事態宣言等による様々な自粛規制や移動制限で、内需獲得すらままならない状況も陰りを見せている状況に拍車をかけております。

 

したがいまして、最近では賃貸マンションやアパート等の一棟物を民泊や旅館業として、運用されていらっしゃる物件オーナー様方より所有物件の再起を図るためのご相談を頂くことが増えてまいりました。

 

ご相談頂いた際の私たちの返答はある程度決まっていまして、こうお答えしております。

「難しく考え過ぎずに、シンプルに居住用の賃貸物件として運用していきましょう」

または

「賃貸として難しければ、売却等の手段で資産の組替えをしましょう」

です。

 

これは安易に考えて適当に答えているわけではありません。

元々、居住用の賃貸物件というものは社会情勢や経済情勢に左右されづらい性質を持っております。なぜならば、人間生活に欠かせないライフラインのようなものであるからこそ、常に一定以上の需要が見込めるからです。

 

民泊や旅館業、レンタルスペースについては今回の新型コロナウィルスによる影響を真正面から受けてしまいました。それだけでなく、店舗や事務所等も空きテナントとなってしまいますと、次はいつ成約になるのかといった状況で、やはり社会・経済情勢に弱いというところを露呈してしまいました。

 

一方で居住用の賃貸物件は今回の新型コロナウィルスの影響を全く受けていないのか?と言われれば、「多少の影響はあると」と言わないとウソになってしまいます。

が、その影響は最小限です。

それは、前述のとおり居住用の賃貸物件のお部屋はライフラインの側面がありますし、所得に影響を受けた契約入居者に対し、手厚い助成・補助金で行政はサポートしております。

 

実際に居住用の賃貸物件は社会・経済情勢に左右されにくいということが、今まさに証明されつつあるのですが、居住用の賃貸物件として運用されているオーナー様とそうではないオーナー様とでは、現在抱えている不安感の度合いは全く異なるのではないでしょうか。

 

そして、実際に居住用の賃貸物件としての転用へとご提案をするのですが、多くのオーナー様はどこか民泊や旅館業で得られる収益見込みの魅力を捨てきれず、何部屋か民泊・旅館業のお部屋を残し、残りのお部屋を居住用の賃貸として試験的に運用するとお考えになってしてしまうことがしばしばあります。

 

しかしながら、これは居住用の賃貸としたお部屋も民泊・旅館業で残したお部屋も共倒れになる可能性が大きいのです。

理由は簡単で、居住用の賃貸は一定の長い期間安心して暮らしたいと入居者は望んでいます。一方で民泊や旅館業は宿泊している時さえ快適であれば良いのです。

この考え方の違いは、共用部分やお部屋の使用方法の違いに繋がってまいります。

 

どう違うのか?

居住用の賃貸入居者は長く安心して住みたいため、協調性をもち比較的静かに大切に使用して頂ける可能性が高いです。

(もちろんそういう方々ばかりではないのが、悲しいところではありますが…)

一方で民泊・旅館業の方々は宿泊したその日さえ良ければいいという考えになりがちですので、騒音やゴミのマナー等が守られない可能性が高いのです。

(こちらについても、そういう方々ばかりではないと思いますが…)

 

そんな考え方が異なる入居者と宿泊者が同じ棟内で過ごせば、トラブルになることは必然です。そして、賃貸のお部屋は退去・解約に高い確率で繋がっていくでしょう。

それだけで済めばまだいいのですが、終わらないクレーム地獄になった場合、何らかの訴訟に繋がっては目も当てられません。

 

このように民泊・旅館業と居住用の賃貸物件の相性は非常に悪いと言えるでしょう。

弊社は転用するのであれば、一棟全てのお部屋を同じ用途へ転用するべきと考えます。

もちろん様々なケースがあるかと思いますので、今回触れさせて頂いた内容が絶対とも言い切れませんが、今まさに今回のお話のような事態に直面されているオーナー様がいらっしゃいましたら、少しでも参考になりますと嬉しい限りです。

 

また、ご不明な点やご相談はいつでもお気軽に弊社へお申し付けください。

 

本社 アンサー事業部 夏 啓安

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