千葉豪雨から考える、これからの「災害に強い賃貸住宅」 ~新築・建替え時に考えておきたい水害対策~
2026年8月、千葉県では局地的な豪雨をもたらす線状降水帯が3回発生し、千葉市内では8月の平年降水量の約3倍にあたる雨が、わずか12時間で降る記録的な豪雨となりました。
道路や市街地に水が滞留する「内水氾濫」による浸水被害も甚大となり、改めて都市部の賃貸住宅においても水害への備えが重要であることが浮き彫りになりました。
このたびの豪雨により被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げますとともに、被災された地域の一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。
■「川から遠いから安心」とは限りません
水害というと、河川の氾濫をイメージされる方も多いかと思います。
しかし今回の千葉豪雨では、短時間に大量の雨が降ったことで下水道や排水施設の能力を超え、市街地に雨水がたまる「内水氾濫」が大きな被害につながりました。
国土交通省も、こうした被害は全国どこでも起こり得る「都市型」の水害としています。
そのため、物件が河川から離れている場合でも、敷地の高さや周辺道路との高低差、排水環境などを確認しておくことが重要です。
■水害リスクは「入居判断」にも影響します
2020年7月17日に宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する命令が公布され、同年8月28日から、不動産取引時の重要事項説明において、水防法に基づく水害ハザードマップにおける対象物件の所在地を説明することが義務化されています。
対象となるのは「洪水」「雨水出水(内水)」「高潮」の3種類です。水害リスクに関する情報は、契約を締結するかどうかを判断するうえで重要な要素となっており、賃貸住宅においても、これまで以上に入居者の物件選び・入居判断に影響するポイントになっています。
■これから建てるなら「水害に強い」という視点を
新築や建替えを検討する際には、間取りや設備、賃料設定だけでなく、災害時に建物機能をできるだけ維持できる設計も重要なポイントとなります。
・受変電設備や分電盤など、重要な電気設備を浸水しにくい位置へ配置する
・給湯器や室外機などの設備を可能な範囲で高い位置に設置する
・敷地や建物入口の高さ、排水計画を確認する
・止水板などを設置できるよう、建物入口や共用部を計画する
・ハザードマップを確認し、想定される浸水深を踏まえて建物計画を検討する
■道路の浸水だけでなく「バルコニー排水」にも注意
豪雨時に注意したいのは、道路や敷地からの浸水だけではありません。
バルコニーの排水口が落ち葉やごみなどで詰まった際、雨水を外へ逃がすための予備排水(オーバーフロー管等)がない建物では、短時間に大量の雨が降るとバルコニーに雨水がたまり、サッシ等を越えて室内へ浸水するケースも考えられます。
新築物件であっても、バルコニーに予備排水が設けられていない場合があります。今後、新築や建替えをご検討される際には、バルコニーの排水計画や予備排水の有無についても確認し、「想定を超える豪雨」に備えた建物づくりの参考にしていただければと思います。
■災害対策は「入居者に選ばれる理由」にも
近年、賃貸住宅に求められるものは、設備の新しさやデザイン性だけではありません。
長く安心して暮らせる住環境を整えることは、入居者満足度や物件の競争力を考えるうえでも大切な要素の一つです。
特に建替えは、老朽化した建物を新しくするだけではなく、現在の災害リスクや周辺環境を踏まえ、土地の特性に合った建物へ見直す機会でもあります。
■既存物件でも今から確認できること
すぐに建替えの予定がない場合でも、まずは所有物件の状況を確認してみてはいかがでしょうか。
・自治体のハザードマップで浸水リスクを確認する
・敷地内や建物周辺の側溝・排水口に詰まりがないか確認する
・1階や低い位置にある電気設備・給湯設備の配置を確認する
■まとめ
今回の千葉豪雨は、短時間の集中豪雨による「内水氾濫」が、都市部でも大きな被害をもたらす可能性があることを改めて示しました。これからの賃貸経営では、収益性や入居率だけでなく、「災害に強い建物」という視点も、長期的に資産価値を守るための重要な要素となります。
弊社では、所有物件の状況や土地の特性を踏まえ、建替え・新築計画を含めた賃貸経営のご相談を承っております。
「今の建物をこのまま維持するべきか」「建替える場合、どのような計画がよいか」など、気になることがございましたらお気軽に弊社までご相談ください。
営業統括本部 開発営業部
大前 優


































































































































































































